AIツールの「進捗」を測ろうとして、自分を測っていた話

林 美里
林 美里 30代・ フリーランスデザイナー
最近、ある記事を読んで妙に刺さった。生成AI導入の進捗管理についての話なんだけど、企業向けの内容なのに、フリーランスの自分にも「あ、これ同じ問題だ」と感じる部分があって。

記事の中で「進捗が見えないまま運用すると、経営層の信頼を失い、生成AI活用が『やった気になる投資』で形骸化する」という指摘があった。企業の話として書いてあるけど、これ、私のことじゃないかと思った。MidjourneyやAdobe Fireflyを使い始めて1年以上経つのに、「で、実際どうなの?」って聞かれたら答えられない自分がいる。

「使っている」と「活かしている」は違う



記事では、KPIを3層に分けて考えることを提案している。利用KPI・業務KPI・経営KPIという構造だ。利用KPIは「アクティブユーザー率と頻度」、業務KPIは「作業時間削減と品質変化」、経営KPIは「ROIとコスト削減効果」という形で整理されている。

フリーランスに置き換えると、私の場合こうなる。Fireflyを使って素材を作る頻度は増えた。でも、それが納品物の品質にどう影響したか、クライアントの反応が変わったか、受注単価が上がったか、そういうことを一度も測っていない。「使っている」事実はあっても、「活かしている」証拠がどこにもない。

これが怖いのは、自分がAIツールに依存しているのか、それとも本当に使いこなしているのかを判断できないまま走っていること。感覚だけで「まあ効率は上がってる気がする」と思い込んでいるだけかもしれない。

測ることで初めて、自分の仕事の輪郭が見えてくる



「全部任せると自分が消える」という不安は、フリーランスのデザイナーならたぶん共感してもらえる感覚だと思う。でも今回記事を読んで気づいたのは、その不安の正体が少し変わった。

自分が消えることを怖れるより先に、自分がどこに存在しているかを測っていないことのほうが問題じゃないか、と。AIが下絵を作って、私が仕上げる。この分業でクライアントが喜んでいるなら、そこに私の価値はある。でも、それを言語化できないと、クライアントへの説明も、価格の根拠も、全部ふわふわしたままになる。

記事では「導入前にベースラインと指標を設計する」ことをステップ1として挙げている。今から全部やり直すのは難しいけど、少なくとも今月から「Fireflyを使ったブランディング案件の初稿提出にかかった時間」を記録し始めることはできる。それだけでも3ヶ月後には何かが見えてくるはずだ。

測ることは、AIに仕事を奪われないための防御じゃなくて、自分の仕事の価値を自分で証明するための手段だと、今は思っている。まず今週、過去3ヶ月の案件をざっと振り返って、Fireflyを使った案件と使っていない案件で作業時間に差があったかどうかを確認してみるつもりだ。

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