生成AI稟議を通すために私がやり直した7つのこと

石井 雅之
石井 雅之 50代・ 大手製造業・部長
「生成AIの予算を取ってこい」と言われてから、3ヶ月が経った。
正直、最初の1ヶ月は完全に止まっていた。

費用の積算方法も、ROIの試算も、稟議書の書き方もわからない。
とりあえずベンダーに見積を取って並べてみたが、それだけでは当然ながら財務部門に跳ね返された。
「効果の根拠は?」「回収見込みは?」という問いに、何も答えられなかった。

「費用見積もり」と「予算申請」はまったく別物だった



ある記事を読んで気づいたのだが、私がやっていたのは単なる「費用見積もり」であって、「予算申請」ではなかった。
この2つは似ているようで、まったく別の資料だ。

予算申請には、業務課題と導入目的の文書化から始まり、ユースケースの特定、ROIシミュレーション、リスクと対策の整理、さらには撤退基準とPoC計画まで含まれる。
ベンダー見積を並べただけの資料を持っていって「承認してください」というのは、経営層からすれば話にならない。
それがわかっただけでも、大きな収穫だった。

もう一つ刺さったのが、コスト項目の話だ。
初期費用だけでなく、ライセンス・API利用料などの運用費用、研修と人材育成費用、そして「隠れコスト」として分類されるアップデート対応・運用負荷・撤退コストまで、きちんと積算する必要がある。
私の最初の見積もりには、教育費用も運用負荷もまったく入っていなかった。

経営層が見ているのは「感覚」ではなく「5つの数字」



経営層が動くかどうかは、感情的な訴求より数字の説得力で決まる。
その数字として挙げられていたのが、業務時間削減率(工数×単価×対象人数)、コスト削減額(年間人件費換算)、競合導入率(同業他社との比較)、回収期間、そしてリスクコストの試算だ。

私の部下25名のうち、営業資料作成や社内報告書の作成に費やしている時間は、1人あたり週平均4〜5時間はあると思っている。
これを単価と掛け合わせて年間に換算すると、それなりの数字になる。
この数字を「業務時間削減率」の形式で示せば、財務部門も話を聞く姿勢になる。

逆に言うと、ここを曖昧にしたまま稟議を出すと、「感覚で言っているだけ」と受け取られる。
私は今まさにその状況にいたわけだ。

来週、まず「業務課題の文書化」から始める



7ステップのうち、私が一番飛ばしていたのがステップ1の「業務課題と導入目的の文書化」だ。
「AIを入れれば効率化できる」という前提で走っていたが、どの業務の、どの課題を、どう解決したいのかを言語化できていなかった。

来週、部下のリーダー陣と1時間のミーティングを設定するつもりだ。
「今一番時間がかかっている作業はなにか」「それは月に何時間くらいか」という2つの質問だけ聞く。
そこから課題を文書化して、ユースケースを絞り込む。

稟議書の前に、まずここからやり直す。
それだけで、3ヶ月前の自分とは全然違う資料が作れると思っている。

無料相談受付中

AI開発・DX推進についてお気軽にご相談ください。オンライン30分から。

無料相談を申し込む