「先生、AIに長い資料を読ませたい」に答えるために知っておくこと

佐藤 麻衣
佐藤 麻衣 30代・ 税理士
先日、クリニックを運営している顧問先から連絡が来た。「AIに診療録の分析をさせたいんだけど、データが多すぎて読み込めないって言われた」という相談だった。

こういう話、最近ちょこちょこ届くようになってきた。飲食の顧問先なら「メニューと売上データ全部まとめて入れたい」、建設業なら「見積書と原価表を一緒に分析してほしい」みたいな感じ。要するに、AIに渡したい情報が増えてきているのだ。

「コンテキストウィンドウ」って何の話?



ここで出てくるのが「コンテキストウィンドウ」という概念だ。簡単に言うと、AIが一度に読み込める情報量の上限のこと。文字数でいうとトークン単位で数える。日本語だと1文字が約1〜2トークンくらいのイメージだ。

AnthropicのClaudeというAIでは、最新のモデルで100万トークンまで読み込めるようになってきた。A4の文書に換算すると、何百ページ分にもなる量だ。クリニックの顧問先が「多すぎて読めない」と言っていた問題は、実は古いモデルを使っていたことが原因だった可能性が高い。

最近のアップデートで、Claude Sonnet 4.6やOpus 4.6というモデルでは、100万トークンのコンテキストウィンドウが追加料金なしで使えるようになった。以前は特別な設定が必要だったのが、標準で使えるようになったというのは地味に大きな変化だ。

顧問先の「あれもこれも」に対応できる話



たとえば飲食店のオーナーから「去年1年分のレシートデータと、食材の仕入れ記録を全部入れて、原価率を分析してほしい」という依頼が来たとする。データ量が多すぎてAIに弾かれた、という話は実はよくある。

でも今のモデルなら、そのくらいのデータ量はむしろ余裕で処理できる範囲に入ってきた。条件を整理すると、

  • 1年分の売上データ(CSVやExcelを文字起こし)
  • 仕入れ記録(品目・数量・単価)
  • メニュー一覧と販売価格


このくらいを一気に渡して「月別・カテゴリ別の原価率を出して」という指示も、現実的にできるようになってきた。

建設業の顧問先なら、複数の工事案件の見積もりと実際の原価を並べて、どの工種でズレが出やすいかを分析させる、なんて使い方も考えられる。

ただし、気をつけておきたいことがある。今回のアップデートでは、古いモデル(Sonnet 4.5や旧Sonnet 4)での100万トークン対応は2026年4月30日で終了する。それ以降は最新モデルに切り替えないと、大量データを処理しようとしたときにエラーになる。顧問先がすでにAPIを使って業務システムに組み込んでいる場合は、使っているモデルのバージョンを確認しておくといい。

「先生、これ使えますか?」への答え方



顧問先からのこういう相談で私が気をつけているのは、技術の話に引きずられないことだ。「コンテキストウィンドウが100万トークンになって…」と説明しても、相手には伝わらない。

「去年1年分のデータを全部渡しても大丈夫なくらい、AIが一度に読める量が増えました」という言い方のほうが、ずっと伝わりやすい。それで「じゃあ試してみよう」となれば十分だ。

クリニックの顧問先には、まず最新のモデルを試してもらうことを勧めた。どのツールを使っているかによって対応は変わるけど、ChatGPTやClaudeのブラウザ版でも、最新モデルを選ぶだけで使える容量はかなり変わる。

「大きいデータを渡したらエラーになった」という顧問先がいたら、まず使っているAIのモデルが最新かどうかを確認するところから始めてみてほしい。それだけで解決することは、思ったより多い。

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