PC調達コストが突然500ドル上がった話と稟議の現実

石井 雅之
石井 雅之 50代・ 大手製造業・部長
先日、ちょっと気になるニュースを読んだ。MicrosoftのSurface ProとSurface Laptopが、世界的なRAM不足の影響を受けて一斉に値上がりしたという話だ。

具体的な数字を見て、少し驚いた。13インチのSurface Pro 11は、もともと999ドルだった最安モデルが1,499ドルになった。つまり500ドルの値上げだ。15インチのSurface Laptopも1,299ドルから1,599ドルに上がっている。ハイエンド構成(Snapdragon X Elite、64GBメモリ、1TBストレージ)に至っては3,649ドルという価格になった。

「海外の話だから関係ない」と思いたいところだが、そうもいかない。

調達価格が変わると稟議はやり直しになる



自分の部署でも、今年度のPC更新の予算を昨年末に組んだ。部下25名分の端末更新計画は、当時のカタログ価格をベースに見積もりを作って経営陣に通した。あの稟議、もし今から組み直しだとしたら、と考えると正直ぞっとする。

PC1台あたり数万円の価格差は、台数が増えれば一気に大きくなる。25台なら誤差で済まないことも多い。「予算内で収まると思っていたのに」という話は、DX投資の現場では珍しくない。

しかも厄介なのは、ベンダーへの発注前に価格が変わるケースだ。見積書の有効期限が切れていたり、部品調達の都合で納期と価格が連動して動いたりする。稟議を通した後に条件が変わると、差額の説明を求められる。その説明コストが地味に重い。

ベンダー提案の「前提条件」を必ず確認する



今回のRAM価格高騰のような外部要因は、ベンダーも予測しきれない部分がある。それは理解している。ただ、提案書に書かれた価格がいつまで有効なのか、部品調達リスクをどちらが負うのか、この2点を最初に確認しておくかどうかで、後々の対応がだいぶ変わる。

DX推進の文脈でIT投資の稟議を通すとき、経営陣が気にするのはROIだけじゃない。「この金額で本当に動くのか」という実行可能性も見ている。価格変動リスクへの言及なしに通した稟議は、後で「説明が足りなかった」という話になりやすい。

自分が意識するようになったのは、調達関連の稟議には「価格有効期限」と「変動リスクの所在」を必ず1行入れることだ。たった1行だが、後の追加説明が減る。

今回のSurface値上げニュースを読んで改めて思ったのは、ハードウェア調達は「決めた時点の価格」で動くものではなくなってきている、ということだ。世界のサプライチェーンが揺れると、国内の稟議プロセスにも普通に影響が出る。

あなたの会社の今年度のPC調達計画、今の市場価格と照らし合わせてみると、どんな差が出てくるだろうか?

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