AIの「直し」が積み重なると、仕事はどう変わるか

伊藤 健太
伊藤 健太 40代・ 社会保険労務士
ソフトウェアのアップデートって、ふつうはエンジニア向けの話だと思われがちだ。でも最近、私はこういう「細かい修正の積み重ね」を見るたびに、社労士の仕事と重ねて考えるようになった。

今回、AIツールの基盤として広く使われているLlamaIndexというライブラリが更新された。内容を見ると、大きな新機能の追加ではなく、小さなバグ修正がいくつか並んでいる。「削除処理のパラメータが正しく渡っていなかった」「同期と非同期で動作がズレていた」といった類のものだ。

地味に聞こえるかもしれないけど、これがじつは大事だと思っている。

「ちょっとしたズレ」が積み重なる怖さ



社労士の仕事でも同じことがある。給与計算のシステムで、ある条件のときだけ控除額がほんの少しズレる。気づかないまま数ヶ月続くと、気づいたときには修正が大変なことになっている。顧問先から「先月の明細、なんかおかしくないですか」と言われてから追うと、原因は3ヶ月前の設定変更だったりする。

AIツールも同じ構造を抱えている。処理が「なんとなく動いている」状態と、「ちゃんと正しく動いている」状態は、見た目にはわかりにくい。今回の修正のひとつに、「エラーのとき、文字列で返していたのを正しく例外として投げるように直した」というものがあった。これが修正前の状態だと、AIが誤った処理をしてもシステムが「成功した」と判断してしまう場面が起きうる。

採用書類の確認や就業規則のチェックをAIに手伝わせているとき、その精度が実はこういう基盤の部分に左右されている。ツールを使う側にはなかなか見えない部分だけど、知っておいて損はない。

AI任せにする前に確認したいこと



最近、顧問先から「AIで求人票を作ってみたんですが、確認してもらえますか」と言われることが増えた。出てくるものは悪くない。ただ、「なぜこの表現にしたのか」を聞いても、担当者は答えられないことが多い。AIが出した結果をそのまま使っている状態だ。

ここで私が気にするのは、ツールの使い方よりも「どこで人間が判断を入れているか」という点だ。労働条件の記載ひとつとっても、業種や雇用形態によって書き方が変わる。AIはその場の文脈を読んで出力するけど、法的なリスクまで拾えているかどうかは別の話だ。

今回のようなバグ修正が定期的に行われているということは、裏を返せば「以前のバージョンには修正が必要な問題があった」ということでもある。ツールを使うときは、バージョンや更新状況を意識しておくのが賢い。

AIを使って助成金の申請資料をまとめたり、顧問先向けの説明文を作ったりするなら、使っているツールが最新の状態になっているかを定期的に確認してほしい。それだけで、見えないところのズレを減らせる。自分も来月、使っているツールのバージョンを一度まとめて見直してみるつもりだ。

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