AIが個人の写真を使って画像生成する時代、営業DXにどう使うか

石井 雅之
石井 雅之 50代・ 大手製造業・部長
先日、GoogleがGeminiアプリの新機能についての記事を読んだ。「Nano Banana 2」という技術を使って、ユーザー自身のGoogle Photosライブラリと個人の好みを自動的に組み合わせ、パーソナライズされた画像を生成できるというものだ。

長いプロンプトを書かなくていい。自分の写真を手動でアップロードしなくていい。Geminiが勝手に文脈を読んで、自分や家族が登場する画像を作ってくれる。米国では「Google AI Plus、Pro、Ultra」の加入者向けに順次展開中だという。

最初に思ったのは「面白いな」という感想だった。でも次の瞬間、別のことを考えていた。

これ、うちの営業資料に応用できないか?



営業DXを推進する立場から見ると、この技術の本質は「個人の文脈を自動的に取り込んで、パーソナライズされたアウトプットを生成する」という点にある。Geminiの場合はそれが「画像」だったが、営業の現場では「提案資料」「顧客向けメール」「プレゼンスライド」に置き換えられる。

今うちの部下たちが時間をかけているのは、まさにこういった個別対応の作業だ。顧客ごとに微妙に違う資料を作る。担当者の名前や業界に合わせて文言を書き換える。これを25人が毎日やっている。

AIが個人の文脈を自動で読み込んでアウトプットを変える、という方向性はまさにその課題へのヒントになる。

ただ、稟議を通すにはここが問題になる



正直なところ、こういう機能をそのまま社内に持ち込もうとすると、必ずセキュリティ部門から止められる。個人のGoogleアカウントと業務データを連携させる構造は、うちの情報セキュリティ要件ではまずアウトだ。

経営陣に説明する際に必要なのは「この技術で何ができるか」だけじゃない。「既存のセキュリティポリシーと整合するか」「データはどこに保存されるか」「万が一の際の責任の所在はどこか」という点だ。これを整理しないと稟議書にすらならない。

今回のGeminiの事例で言えば、個人の写真をAIが自動参照するという設計は、コンシューマー向けとしては便利だ。しかし企業向けに転用するとなると、同じ「パーソナライズ×自動化」のコンセプトを、エンタープライズ向けのセキュリティ構造に落とし込んだサービスを探す必要がある。

ベンダーを評価するときには、こんな視点で聞くようにしている。

  • 学習データに自社情報が使われないか(モデルのトレーニングへの利用可否)
  • データの保存先と保管期間の明示
  • 既存の社内ツール(例えばSalesforceや社内CRM)との連携可否
  • SOC2やISO27001などの第三者認証の有無


このあたりを整理した上で提案書を作ると、IT部門と法務も巻き込んだ稟議が一回で通りやすくなる。過去に何度か痛い目を見てきた経験からそう思っている。

技術の進化を「自分ごと」として読む習慣



今回のGeminiの記事は、直接的には営業DXと関係ない話だった。でも「個人の文脈をAIが自動取得してアウトプットを変える」というコンセプトは、確実に業務系AIの方向性とリンクしている。

こういうコンシューマー向けの新機能を見たとき、「すごいな」で終わらせるか、「これを業務に置き換えたらどうなるか」まで考えるかで、DX推進の感度はかなり変わってくる。

自分は来週、部下の何人かにこの記事を見せた上で、「同じ発想を営業プロセスに当てはめるとどんな使い方が思い浮かぶか」というテーマで30分ほど話してみるつもりだ。新しいツールの稟議より先に、チームの解像度を上げる方が早いと思っている。

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