ハイアットのAI全社導入を見て、私が感じた「消える恐怖」

林 美里
林 美里 30代・ フリーランスデザイナー
ハイアットがChatGPT Enterpriseを全社導入したというニュースを読んだ。
ホテルチェーンがGPT-4oやCodexを使って、現場オペレーションからゲスト体験まで一気に変えようとしている。
正直、最初は「大企業の話でしょ」と流しかけた。
でも読み進めるうちに、なんか胸がざわざわしてきた。

ハイアットは世界中のスタッフ向けにAIを展開している。
ホテル業という、かなり「人の温かみ」で勝負してきた業界の話だ。
そこが本格的にAIを業務の中心に据えてきている。
デザイナーの私には直接関係ない話のはずなのに、なぜか目が離せなかった。

「使わないと負ける」は本当にそう思ってる



私はMidjourneyもAdobe Fireflyも普通に使う。
クライアントのロゴ案を出すとき、最初のラフ案をAIに出させることもある。
「それって自分の仕事じゃないの?」と思われそうだけど、正直スピードが全然違う。
使わなかった頃より、初回提案の幅が広がったのは事実だ。

でも使えば使うほど、ある感覚がつきまとう。
「あ、これ私じゃなくてAIが考えたやつだ」っていう感覚。
クライアントが「これいいですね!」と言ってくれるとき、少し複雑な気持ちになる。
喜んでもらえて嬉しいけど、何に喜んでもらえているのかがわからなくなる。

ハイアットが教えてくれた「AIとの距離感」



ハイアットの導入事例で興味深かったのは、AIを「全部やらせる」ためじゃなく、スタッフが判断しやすくするために使っている点だ。
Codexでの業務効率化も、最終的な判断はスタッフが下す設計になっているらしい。
つまり、AIは「考える道具」として使い、人間は「決める人」として残っている。

これを読んで、私がMidjourneyに感じている不安の正体が少しわかった気がした。
私はAIに「考えさせすぎている」のかもしれない。
ラフ案を出させた後、自分でどう判断して、どう手を加えるかを明確にしていないことがある。
AIが出したものをそのまま見せてしまっていることも、正直ある。

「全部任せると自分が消える」は感覚的に正しかった。
でも「何を自分が担うか」をちゃんと決めていないと、ただの不安で終わる。
ハイアットは何万人というスタッフに向けて、その役割分担を設計した。
一人のフリーランスでも、同じことを自分なりにやればいいんじゃないかと思えてきた。

私はデザインの「文脈をつかむ力」だと思っている。
クライアントが言葉にできていないブランドの空気感を読む力。
そこだけは、Midjourneyにはまだ渡せない。
だからそこに集中して、生成の部分はAIと分担する。
言葉にすると簡単だけど、実際に仕事の中で実践するのは思ったより難しい。

今度の案件から、AIに出させたラフ案を使うときは「なぜこれを選んだか」をクライアントに伝えるようにしてみるつもりだ。
選んだのは自分で、その理由には自分の判断がある、ということを言語化する練習として。
それが「自分が消えない」ための、今の私なりの答えかもしれない。

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