AIに仕事を奪われる前に、私が考えていること

林 美里
林 美里 30代・ フリーランスデザイナー
Googleがオーストリアのクロンストルフに初めてデータセンターを建設する、というニュースを読んだ。100人の雇用創出、地域の川の水質改善ファンド設立、上オーストリア応用科学大学とのスキル育成パートナーシップ。なんというか、インフラの話なのに妙に自分ごととして読んでしまった。

なぜかというと、「AIのインフラが世界中に広がっている」という事実が、改めてリアルに感じられたから。クロンストルフにデータセンターができるということは、AIの処理能力がまた一段上がるということ。そしてそれは、私たちクリエイターが使っているMidjourneyやAdobe Fireflyの精度や速度にも、じわじわ影響してくる話だ。

使わないと負ける、でも全部任せると自分が消える



フリーランスのデザイナーとして独立して5年が経つ。最近、クライアントから「AIで作れるんじゃない?」と聞かれる回数が確実に増えた。正直に言う。使っている。Midjourneyでラフ案を出したり、Adobe Fireflyでテクスチャを生成したりする。作業時間は明らかに短くなった。

でも、そこで毎回つっかえる感覚がある。AIが出してくるアウトプットって、「悪くはない」のだ。むしろ、すごく整っている。でもそれが怖い。整っているけど、どこかで見たことある感じがする。私が10年かけて磨いてきた「この角を少し丸くする感覚」とか「この余白の緊張感」みたいなものが、AIの出力にはない。

だから私は今、AIを「下書き機」として使うことにしている。最終的な判断と調整は全部自分でやる。それが今のところの着地点だ。

「スキルが必要」という話が刺さった理由



Googleがオーストリアで14万人以上のデジタルスキルトレーニングを実施してきた実績があって、今回もその延長でスキル育成パートナーシップを組むという。この部分を読んで、少しざわっとした。

「AI時代のスキル」って、何なんだろう。AIを使いこなすこと? それとも、AIには出せないものを持ち続けること? たぶん両方なんだけど、その両立が思ったより難しい。AIに慣れすぎると、自分の判断力が鈍る気がしている。これは感覚の話なので証明はできないけど、最近ちょっと意識的にアナログの作業を挟むようにしている。活版印刷のワークショップに行ったのも、そういう理由が半分ある。

手を動かして、素材の抵抗感を体で感じる時間。それが、AIとの距離感を保つための私なりの方法かもしれない。

AIのインフラが世界中に広がるほど、逆に「人間にしか出せないもの」の価値は上がる、と思いたい。思いたいけど、本当にそうなるかはまだわからない。だから今は、AIを使いながら、使われないように、自分の感覚を意識的に守っていくしかないと思っている。

あなたはAIツールを使ったとき、「自分らしさ」がちゃんと残っていると感じているだろうか?

無料相談受付中

AI開発・DX推進についてお気軽にご相談ください。オンライン30分から。

無料相談を申し込む