先日、ある記事を読んだ。マーケターのキャリアについて書かれたコラムで、「最短ルートで成果を出すにはどうすればいいか」という若手への問いかけから始まる内容だった。
読み進めるうちに、妙に胸に刺さるものがあった。
その記事を書いた人は、コーヒーチェーンのマネージャー、コールセンターのカスタマーサポート、カフェのイベント運営、ブログ運営という経験を経てマーケターになった人だ。当時は「なんでこんなことしてるんだろう」と思っていたらしい。でも後になって、それぞれの経験が今の仕事に全部つながっていたと書いていた。
読みながら、うちの会社のことを考えていた。
私はもともと、親父から工場を引き継いだ。最初は現場で旋盤を回していたし、営業もやったし、経理の帳簿も自分でつけていた時期がある。「社長なのになんでこんなことを」と思ったことは正直何度もある。でも今になって思うのは、現場の感覚を知っているから、職人たちの話がわかる。取引先の担当者と対等に話せる。数字を見れば、どこに無駄があるかすぐ気づける。
遠回りしたからこそ、今がある。そう感じた。
その記事の中に、こんな言葉があった。「これからのマーケターに求められるのはスキルの深さだけでなく、経験の広さだ」と。
これ、製造業の後継者問題とまったく同じ構図だと思う。
旋盤だけ上手い職人は確かに頼りになる。でも、うちの会社でいちばん困るのは「その人しかできない仕事」が増えすぎることだ。一人が抜けたら止まる。それが怖い。
後継者に求めるのも同じで、製造の現場だけわかっていてもダメで、取引先との折衝も、コスト管理も、社員との向き合い方も、全部ある程度わかっている人間が必要だ。息子に工場の現場に入らせたのも、営業の同行に連れ出したのも、全部そのためだ。
「最短ルート」で育てようとしていたら、絶対にそうはしていなかった。
そのコラムには「ピボット」という言葉も出てきた。方向転換しながら、自分の強みを広げていく考え方だ。スタートアップがビジネスモデルを変えながら成長するイメージに近い。人のキャリアでも同じことが起きる、という話だった。
振り返ると、自分もそうやってきた気がする。旋盤工からスタートして、営業を覚えて、経理も覚えて、今は会社全体を見ている。どれか一つを深掘りしていたら、今の自分はなかった。
難しいのは、遠回りしているときには「これが意味あることだ」とはなかなか思えないことだ。私も当時はただしんどかっただけで、後になって「ああ、あれが役に立っていたのか」とわかった。
だから息子には、今すぐ結果を求めすぎないようにしようと思っている。現場で覚えていること、取引先で感じていること、全部いつか線になる。そう信じて、もう少し待ってみるつもりだ。
あなたの会社では、後継者や若手に「遠回り」をさせる余裕が今、どれくらいありそうだろうか。
読み進めるうちに、妙に胸に刺さるものがあった。
「遠回り」に心当たりがありすぎた
その記事を書いた人は、コーヒーチェーンのマネージャー、コールセンターのカスタマーサポート、カフェのイベント運営、ブログ運営という経験を経てマーケターになった人だ。当時は「なんでこんなことしてるんだろう」と思っていたらしい。でも後になって、それぞれの経験が今の仕事に全部つながっていたと書いていた。
読みながら、うちの会社のことを考えていた。
私はもともと、親父から工場を引き継いだ。最初は現場で旋盤を回していたし、営業もやったし、経理の帳簿も自分でつけていた時期がある。「社長なのになんでこんなことを」と思ったことは正直何度もある。でも今になって思うのは、現場の感覚を知っているから、職人たちの話がわかる。取引先の担当者と対等に話せる。数字を見れば、どこに無駄があるかすぐ気づける。
遠回りしたからこそ、今がある。そう感じた。
「スキルの深さ」より「経験の広さ」という話
その記事の中に、こんな言葉があった。「これからのマーケターに求められるのはスキルの深さだけでなく、経験の広さだ」と。
これ、製造業の後継者問題とまったく同じ構図だと思う。
旋盤だけ上手い職人は確かに頼りになる。でも、うちの会社でいちばん困るのは「その人しかできない仕事」が増えすぎることだ。一人が抜けたら止まる。それが怖い。
後継者に求めるのも同じで、製造の現場だけわかっていてもダメで、取引先との折衝も、コスト管理も、社員との向き合い方も、全部ある程度わかっている人間が必要だ。息子に工場の現場に入らせたのも、営業の同行に連れ出したのも、全部そのためだ。
「最短ルート」で育てようとしていたら、絶対にそうはしていなかった。
そのコラムには「ピボット」という言葉も出てきた。方向転換しながら、自分の強みを広げていく考え方だ。スタートアップがビジネスモデルを変えながら成長するイメージに近い。人のキャリアでも同じことが起きる、という話だった。
振り返ると、自分もそうやってきた気がする。旋盤工からスタートして、営業を覚えて、経理も覚えて、今は会社全体を見ている。どれか一つを深掘りしていたら、今の自分はなかった。
難しいのは、遠回りしているときには「これが意味あることだ」とはなかなか思えないことだ。私も当時はただしんどかっただけで、後になって「ああ、あれが役に立っていたのか」とわかった。
だから息子には、今すぐ結果を求めすぎないようにしようと思っている。現場で覚えていること、取引先で感じていること、全部いつか線になる。そう信じて、もう少し待ってみるつもりだ。
あなたの会社では、後継者や若手に「遠回り」をさせる余裕が今、どれくらいありそうだろうか。