「先生、AIが営業してくれるって本当ですか?」

佐藤 麻衣
佐藤 麻衣 30代・ 税理士
先日、飲食店を3店舗経営している顧問先の山田さんから、こんな相談が来た。「アドビとかいう会社が、AIが勝手に営業してくれるシステムを出したって聞いたんですけど、うちにも使えますか?」

なかなかアンテナが高い人だなと思いながら、少し調べてみた。

山田さんが聞いてきた「アレ」とは何か



アドビが2026年4月のAdobe Summit 2026で発表した「Adobe CX Enterprise」のことだと思う。一言で言うと、複数のAIエージェントが連携して、潜在顧客の発見から購入、さらにリピーター化までを自動でこなすシステムだ。2万以上のグローバル企業のデータをもとに開発されたと言っているので、相当な規模感のプロダクトだと分かる。

面白いのは「Adobe CX Enterprise Coworker」という機能で、ビジネス目標を入れると必要な施策を多段階で自動実行してくれる。例えば「クロスセルの実績を3%向上させたい」と入れると、対象顧客の絞り込みからクリエイティブ素材の準備、キャンペーンの実行まで自動で組み立てる仕組みだ。

聞いていると確かにすごい。でも私の頭の中では「山田さんの店で使えるか?」という問いが先に来る。

顧問先の目線で正直に言うと



山田さんの飲食店の現状を思い返してみた。月次の売上データはfreeeで管理しているし、SNS発信もスタッフが担当している。顧客管理はというと、正直まだLINE公式アカウントをなんとなく使っている程度だ。

Adobe CX Enterpriseは、Amazon Web ServicesやMicrosoftなど大手クラウドとも連携できる設計になっている。これだけ見ると「大企業向け」という印象が強い。実際、想定されているのは数万人規模の顧客データを持つ企業だと思う。

山田さんの3店舗では、まだそのフェーズではない。今必要なのは、来てくれたお客さんが次も来てくれる仕組みを地道に作ることだ。AIエージェントが自律的に動く前に、そもそも顧客データが整っているかどうかが問われる。

ただ、山田さんの質問は的外れじゃない。こういう大きなトレンドが始まると、数年後には中小向けのもっとシンプルな類似ツールが必ず出てくる。今の段階で概念を理解しておくことには意味がある。

私が山田さんに伝えたのは3点だ。

・今すぐAdobe CX Enterpriseを検討する必要はない
・まずLINE公式の顧客データをきちんと整理して「誰が何回来ているか」を把握する
・来年以降、同じ思想の中小向けツールが出てきたときに動けるよう土台を作っておく

山田さんは「なんだ、まだ早いですか」と少しがっかりしていたけど、土台づくりの話をしたら前向きになってくれた。

「使えますか?」に答えるのが仕事



こういう相談が来るたびに思う。顧問先が新しいAIのニュースに反応してくれるのは、実はありがたいことだ。無関心よりずっといい。

「使えますか?」に「まだ早い」と言うだけで終わらせるのではなく、じゃあ今何をすべきかをセットで伝える。それが自分の役割だと思っている。

あなたの顧問先で「先生、これ使えますか?」と聞いてくる社長は、どんなツールに反応していますか?

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