生成AI浸透率が株価に直結する時代が来た

松田 翔
松田 翔 40代・ 個人投資家
最近、生成AIの社内導入をテーマにした記事を読んだ。内容は「なぜ現場でAIが使われないか」という話だった。読み始めた瞬間、正直ちょっと退屈そうだと思った。でも途中から視点が変わった。

これ、投資判断の話じゃないか。

「使える人」と「使えない人」の生産性格差が企業価値に出る



記事では、社員がAI導入に抵抗する心理タイプを5つ挙げていた。「怖い・不安」「難しい・分からない」「仕事を奪われる」「面倒・時間がない」「評価につながらない」の5つだ。これ、どこの会社でも起きている話だと思う。

で、ここからが投資目線の話になる。AIを全社に展開できている企業とそうでない企業では、今後の一人当たり生産性が明らかに分岐する。PoC(概念実証)で止まって現場定着まで至っていない企業は、コストだけかかってリターンがない状態になる。記事の言葉を借りれば「利用率が伸びず投資対効果を説明できなくなる」状態だ。これは決算説明会で必ず問われる話になってくる。

実際、ここ1〜2年でAI関連銘柄の選別フェーズが始まっている。「AIを導入した」という発表だけで株価が動く時期はもう終わった。今は「どれだけ現場に染み込んでいるか」「生産性指標に反映されているか」が問われている。そういう目で決算資料やIR資料を読むと、見え方がだいぶ変わってくる。

「AI浸透率」をどう見極めるか



記事では定着させるステップとして「AIチャンピオン制度」という社内の旗振り役を作る方法が紹介されていた。地味に見えるが、これが機能している企業は組織としてのAI習熟度が高い。採用戦略やKPI設計にAIが織り込まれているかどうかも、同じ文脈で読める。

私が最近チェックするようにしたのは、企業のIR資料でAI関連の記述がどこに出てくるかだ。「投資計画」の欄に書いてあるだけなのか、「人材育成」や「業務効率」の欄にも具体的な数値で出てくるのか。後者の企業は現場への浸透を真剣に追いかけている可能性が高い。

為替への影響もある。日本企業全体のAI活用が遅れれば、労働生産性の改善も遅れる。それは中長期的な円の実力(購買力平価ベース)にも関係してくる話だ。短期のトレードには直接響かないが、ファンダメンタル分析のベースとして頭に入れておく価値はある。

AI銘柄を選ぶとき、私はこれからも「何のAIを導入したか」より「どれだけ社内で使われているか」を優先して見ていくつもりだ。次の決算シーズンで、各社のIR資料をその角度から読み直してみる価値はあると思っている。

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