セール情報から学ぶ、DX機器導入の稟議の通し方

石井 雅之
石井 雅之 50代・ 大手製造業・部長
先日、あるテック系メディアの記事を眺めていて、少し考えさせられることがあった。

アメリカのベストバイという家電量販店が「アルティメット・アップグレードセール」という大規模セールを開催していて、AirPods Pro 3が249ドルから199ドルに値下がり、LGのB5 OLEDテレビ(48インチ)が600ドルという価格になっていた。日本円に換算するとかなりの安さだ。

それ自体は「へえ」で終わる話なんだけど、ふと頭をよぎったのが「うちの部署で機器購入の稟議を出すとき、自分はどれだけ価格の根拠を丁寧に説明できているか」という問いだった。

経営陣が稟議で本当に聞きたいこと



営業DXの推進という仕事をしていると、ツールや端末の導入提案は年に何度もある。そのたびに感じるのが、経営陣は「なぜこの金額なのか」よりも「なぜ今なのか」を気にしているということだ。

たとえばタブレットを25名分導入するとして、1台あたり8万円なら200万円の稟議になる。その金額が高いか安いかより、「今期中に入れないと何を失うか」の説明が弱いと通らない。タイミングの論理を作れるかどうかが、実は稟議の肝だと思っている。

ベストバイのセールの話に戻ると、あのセールが5日間限定で4月19日まで、という構造になっている。期限があるから人は動く。これは稟議にも使える発想だ。「今期の予算執行期限」「競合他社の動向」「ベンダーの価格改定時期」といった外部要因を根拠にすると、経営陣に「なぜ今か」が伝わりやすくなる。

部下に使わせてみて初めてわかること



私が最近意識しているのは、稟議を出す前に「小さく試す」フェーズを必ず挟むことだ。全員分を一気に導入するのではなく、まず数名に使わせてみる。そこで出てきた声を稟議書に盛り込む。

「部下の〇〇が使ってみたところ、商談準備の時間が週3時間短縮できた」という一文は、スペック比較表よりもずっと説得力がある。経営陣も人間なので、数字より具体的なエピソードに反応することが多い。

Google Pixel 10Aが499ドルから449ドルになっていた、という記事の一節を読んで思ったのが、新製品でも発売直後から値引きが始まる時代になっているということだ。つまり「新製品だから高い」という言い訳は通りにくくなっている。むしろ「適正価格を見極める目」を自分が持っているかどうかを問われている気がした。

ベンダーから提案書をもらったとき、その価格が市場相場と比べてどうなのかを即座に判断できるか。そこが、DX推進部門のリーダーとしての信頼につながると思っている。

社内のセキュリティ要件やIT部門との調整も含めて、稟議プロセスは複雑だ。でも「なぜ今か」「実際に誰がどう使ったか」「価格の根拠は何か」の3点を整理するだけで、通過率はかなり変わる。

自分は来週、次の端末導入提案に向けて、まず部下2名に試用してもらうところから動いてみるつもりだ。

無料相談受付中

AI開発・DX推進についてお気軽にご相談ください。オンライン30分から。

無料相談を申し込む