AIツールが進化するほど、自分の手を動かしたくなる理由

林 美里
林 美里 30代・ フリーランスデザイナー
Ollamaというローカル動作のAIツールが、v0.20.4のリリース候補版を出した。変更点を見ていたら、Gemma4へのフラッシュアテンション有効化やM5チップでの処理速度改善など、地味だけど確実に前進している内容が並んでいた。技術的な話は専門家に任せるとして、私がこれを読んで思ったのは「またひとつ、AIが使いやすくなるのか」という感覚だ。

正直に言う。それは嬉しさ半分、怖さ半分だった。

使わないと仕事が取れない、でも使いすぎると何かが消える



フリーランスでブランディングやロゴ制作をしていると、AIツールの話は避けて通れない。MidjourneyやAdobe Fireflyを触り始めてもう2年以上が経つ。最初は「こんなの使ったら負けだ」と思っていたのに、今はラフ案出しや配色の壁打ちに普通に使っている。使わないと、納期と単価の両方で競合に負ける。それはもう身体でわかった。

でも、使い込むほど別の不安が頭をもたげてくる。クライアントから「このデザイン、いいですね」と言われたとき、これは私の仕事なのか、AIの出力を選んだ私の仕事なのか、という問いが頭の隅に残る。その感覚、うまく言語化できていなかったけれど、最近ようやく言葉にできてきた。「選択眼は自分だけど、手が動いていない」という感じだ。

ローカルAIの進化が、クリエイターに突きつけるもの



Ollamaのような、自分のマシンで動かせるAIツールが着実に進化しているという事実は、ある意味で象徴的だと思う。クラウド経由でなくても、手元のMacで高精度な生成ができる時代になってきた。MidjourneyやFireflyはサービスとして洗練されているけれど、ローカルで動くAIは「自分の環境でコントロールできる」という感覚を持てる点が違う。

コントロールできる、というのは私にとって重要なワードだ。活版印刷が趣味なのも、結局は「自分の手でプレスをかける」という感触を求めているからだと思う。デジタルで何でもできるからこそ、あえて制約の多いアナログに戻りたくなる。AIも同じで、全部お任せにしたくない気持ちがどこかにある。

ただ、Gemma4のような新しいモデルがローカルで動くようになると、「まず試してみよう」という気にはなる。クライアントへの提案資料に添付するモックを量産するとか、テキストのトーン確認とか、補助的な使い方ならむしろ積極的に取り入れたい。キャラクターに寄りかかるんじゃなくて、作業の解像度を上げるために使う、という感覚で。

「自分が消えない」使い方を、もう少し丁寧に考えたい



v0.20.4のリリースノートには、既存のsafetensorモデルからの作成に関するバグ修正も含まれていた。細かい話だけど、こういう地道な改善の積み重ねが「使えるツール」を「頼れるツール」に変えていく。私が恐れているのは、ツールの進化そのものじゃない。ツールに流されて、自分の判断軸を失うことだ。

「全部任せると自分が消える」という感覚は、おそらくこれからも消えない。消えなくていい、とさえ思う。その緊張感が、ちゃんとしたデザインを生む摩擦になっている気がするから。

自分は来週、Ollamaを久しぶりに手元のMacにセットアップし直してみるつもりだ。Gemma4の動作を確認しながら、どこまでローカルで完結できるか試してみたい。

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