AIが薬を作る時代、製造業の私たちに何が起きる?

田中 正雄
田中 正雄 50代・ 製造業・代表取締役
先日、こんなニュースを読んだ。AIの会社「Anthropic」が、設立8カ月のバイオAI企業を400億円以上で買収したというものだ。

バイオAI企業というのは、AIを使って薬や新素材を開発する会社のこと。まだ生まれて8カ月の会社が、それだけの価値を持つと判断された。正直、最初は「うちには関係ない話だな」と思った。

でも、少し立ち止まって考えてみた



薬の開発って、昔は何十年もかかっていた。膨大な試行錯誤と、専門家の経験と、莫大なコストが必要だった。それがAIによって、数カ月〜数年に縮まりつつある。

うちの会社でいうと、何に似ているか。たとえば「材料の選定」や「工程の改善」だ。経験豊富なベテランが長年かけて蓄積してきたノウハウ。それを次の世代に引き継ぐのが、ずっと課題だった。

薬の開発でAIができたことが、製造の現場でも同じように起きる。そういう流れが、確実に来ている。

じゃあ、うちの会社は何をすればいい?



「AIを入れます」と言っても、いきなり何百万円もかけてシステムを刷新する必要はない。私が最近気づいたのは、まず「自分たちが何に時間を使っているか」を書き出すことだ。

たとえば、発注書のチェック。毎回同じフォーマットなのに、担当者が目で確認している。見積もりの作成。過去の案件を参考にしながら、毎回ゼロから入力している。クレーム対応の記録整理。バラバラにメモが残っていて、後から探すのが大変だ。

こういった「繰り返しの作業」「探す作業」「確認する作業」が、AIの得意分野と重なる。大手が何百億円もかけて動いているのは、そこに確かな価値があるからだ。

AIは難しい技術の話ではなく、「今まで人がやっていた単純作業を、安く・速く・正確にやる道具」だと思えば、急に身近に感じてこないだろうか。

今回の買収ニュースが示しているのは、「AIはもう研究者だけのものじゃない」ということだと思う。現場の仕事に、じわじわと入り込んでくる。気づいたときには、対応が遅かった、という話にならないよう、まずは自社の「繰り返し作業リスト」を一枚の紙に書き出すところから始めてみてほしい。

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