生協がクラウド移行で年20%コスト削減。スタートアップが見習うべき判断軸

木村 俊介
木村 俊介 30代・ スタートアップ創業者
パルシステム連合会が約50のシステムをOracle Cloud Infrastructure(OCI)に移行した、というニュースを読んだ。年間約20%の運用コスト削減が見込めるという。

正直、最初は「大企業のクラウド移行話か」とスルーしかけた。でも読み進めると、自分たちへの示唆がけっこうあった。

「競合がやってる」じゃなく「コストが20%下がる」で動いた



パルシステムが今回の移行を決めた背景には、インターネット経由の利用が増えて、アクセスが集中する時間帯にオンプレでは対応しきれなくなったという事情があった。つまり「トレンドだから」じゃなく、実際に困っていたから動いた。

この判断の仕方、自分はすごく正しいと思う。うちみたいな8人のスタートアップが「クラウドネイティブです」とか「モダンインフラ使ってます」と言っても、投資家は別に感動しない。でも「インフラコストを年間20%下げた」は数字で話せる。

ツールやインフラの意思決定って、どうしてもエンジニア主導になりがちだ。「このサービスのほうが技術的に優れている」という話になる。でも経営者として聞きたいのは、それで何円浮くのか、その分をどこに使えるのか、という話だ。

DRサイトを新設した、という一行が刺さった



OCIの冗長性を活かしてディザスタリカバリ(DR)サイトを新たに構築した、とも書いてあった。大規模な障害が起きても宅配サービスを継続できるようにした、ということだ。

1週間に170万世帯が使う生協の宅配が止まったら、ビジネスへのダメージは計り知れない。だからDRに投資した。これはSaaSも同じ構造だと思う。

うちのプロダクトが落ちたとき、顧客はどう動くか。サポートに怒鳴り込んでくるだけじゃなく、そのまま解約の検討が始まる。特にエンタープライズ寄りの契約を取り始めると、SLAの話が必ず出てくる。

「可用性は何%ですか」という質問に対して、今の自分たちはちゃんと答えられるか。正直、少し不安になった。

コスト削減の話を投資家にどう使うか



このニュースを読んで、次のラウンドの話に使えるな、と思った角度がある。

スタートアップがよく言いがちなのは「これからスケールします」という話だ。でも投資家が聞いているのは「スケールしたときにコスト構造はどう変わるのか」だったりする。

パルシステムの事例は「スケールするほどオンプレのコストが重くなった。だからクラウドに移してコストを最適化した」という話だ。同じロジックを自分たちのARRの成長と絡めて語れると、けっこう説得力が出る。

「売上が伸びてもインフラコストの比率は下がる設計になっています」と言えるかどうか。これはUnit Economicsの話でもある。

インフラの話を経営やセールスの文脈に変換するのが、CEOの仕事だと思う。自分は来週、エンジニアと一緒にうちのインフラコストの推移を改めて確認してみるつもりだ。

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