AIツールのバージョンアップ、稟議前に確認すべきこと

石井 雅之
石井 雅之 50代・ 大手製造業・部長
先日、社内のDX推進チームから「使っているAIのSDKがアップデートされた」という報告が上がってきた。正直、最初は「また更新か」くらいの感覚だった。でも少し掘り下げてみると、これが稟議や導入評価の場面で意外と効いてくる話だと気づいた。

今回アップデートされたのは、GoogleのGeminiというAIを使うためのJavaScript向けSDK(開発ツールキット)だ。技術的な話は開発部門に任せればいいとして、私が気になったのは「このリリースノートの中身」だった。

リリースノートは「信頼性の証拠」になる



今回のアップデートの内容を見ると、大きな新機能追加ではなく、ドキュメントの誤字修正やバグ修正が中心だった。地味に見えるかもしれないけど、私はこれを「丁寧に管理されているプロジェクトかどうか」を判断する材料として使っている。

経営陣にAIツールの導入を提案するとき、必ずといっていいほど「そのベンダーは信頼できるのか」という質問が来る。そのときに「Googleが出しているツールです」だけでは弱い。継続的にメンテナンスされているか、ユーザーからの指摘に対応しているか、そういう積み重ねがあってはじめて「安心して使い続けられる」と言える。

リリースノートの更新頻度や内容は、ベンダー評価の一つの軸になる。この視点は意外と稟議の説明資料に使える。

「deprecated(非推奨)」という言葉をどう扱うか



実はこのSDK、リポジトリ名に「deprecated(非推奨・廃止予定)」という言葉が入っている。新しいSDKへの移行が推奨されており、こちらは保守対応のみになっているようだ。部下から「このまま使い続けていいですか」と聞かれたら、何と答えるか。

これは製造業の設備更新と同じ考え方が使える。今すぐ壊れるわけじゃないが、メーカーサポートが終わったラインをそのまま使い続けるリスクは織り込んでおく必要がある。AIツールも同様で、「今動いている」と「今後も安全に使える」は別の話だ。

導入済みのツールについて、サポート状況やロードマップを定期的に確認するのは、DX推進部門の重要な仕事の一つだと私は考えている。稟議を通す段階だけでなく、導入後の継続評価の仕組みを作れているかどうかが問われる。

部下に「バージョンアップの確認」を習慣化させた話



半年前から、AIツールを使っているチームに「月一回、使用ツールのリリースノートを確認して報告する」というルールを設けた。最初は「余計な作業が増えた」という反応もあった。

でも実際にやってみると、現場から「このツール、来月から仕様が変わるらしい」「サポート終了の予告が出ていた」という情報が上がってくるようになった。問題が起きてから慌てるのではなく、事前に手を打てる体制になってきた実感がある。

技術的な詳細は開発チームに判断してもらえばいい。私の役割は「そういう確認を習慣にする文化を作ること」だと思っている。

あなたの部門では、導入後のAIツールの状態を誰が、どのタイミングで確認しているだろうか。

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