政府がアプリを消せる時代に、社内ツール選定をどう考えるか

石井 雅之
石井 雅之 50代・ 大手製造業・部長
先日、アメリカで気になるニュースを読んだ。
トランプ政権がFacebookとAppleに圧力をかけて、ICE追跡アプリやグループを削除させた件で、連邦裁判所の判事が「修正第1条(言論の自由)違反だ」と判断したという話だ。
パム・ボンディ司法長官がXで「DOJがMetaに連絡して問題グループを削除させた」と自ら公言していたらしく、それが裁判所に「要請ではなく強要だった」と認定された。

アメリカの政治の話なので、最初は他人事のように読んでいた。
ただ読み進めるうちに、「あれ、これ私たちの仕事にも関係する話じゃないか」と感じてきた。

外部ベンダーのツールは、ある日突然消えることがある



今回の件でEyes Upというアプリ、ICEBlock、Red Dotなど複数のアプリがApp Storeから消えた。
DOJからの圧力と「起訴するぞ」という脅しが背景にあったとされている。
CNNがそのアプリについて報道しただけで訴追をほのめかされたというのも、なかなか衝撃的な話だった。

私が今一番思い出したのは、以前ベンダーが突然サービス終了を告知してきたときのことだ。
そのときは社内の営業支援ツールで、移行に3ヶ月かかった。
今回のようなケースは政治的な圧力が原因だが、結果として「ツールが使えなくなる」という事態は同じだ。
クラウドサービスやSaaSを使っている以上、こういうリスクはゼロにならない。

稟議に「リスク想定」を入れているか



部下が新しいツールの導入提案を持ってきたとき、私はついコスト対効果ばかり聞いてしまう。
でも本当は、「そのベンダーが突然使えなくなったらどうする?」という視点もセットで聞かないといけない。

経営陣への説明でもそうだ。
「このSaaSを入れると営業の生産性がこれだけ上がります」だけでは説明として弱い。
リスク項目として「サービス継続性」「データの持ち出し可否」「代替手段の有無」を明示して初めて、責任ある提案になる。

今回のアメリカの裁判は、最終的に裁判所が「政府の行為は違憲」と判断した。
これ自体はいいニュースだが、判決が出るまでの間、ツールは消えたままで、ユーザーは使えない状態が続いていた。
法律が正しくても、現場へのダメージは残る。

ベンダー選定の「評価軸」をもう一度見直す



自分の部門では今、いくつかのAIツールとSaaSを並行稼働させている。
今回の件をきっかけに、各ツールについて「万一使えなくなったときのデータ移行コスト」を改めて整理しておこうと思っている。

ベンダー選定の評価軸として、機能・価格・サポートの3点はどの会社も見る。
ただ「事業継続性リスク」を定量的に評価している会社はまだ少ない気がする。
少なくとも私の周りでは、そこまで踏み込んだ提案書を見たことがほとんどない。

来週、部下が持ってくるツール提案のレビューがある。
そのときに「このツールが明日使えなくなっても業務を止めない方法は何か?」を議題として一つ加えてみるつもりだ。

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