400紙規模の新聞社がOpenAIとMicrosoftを訴えた、というニュースをXで流れてきて読んだ。
Gigazineの記事だ。
2026年6月24日に提訴されたもので、「許可も報酬もなくコンテンツをスクレイピングしてChatGPTやCopilotを作った」という主張。
ペイウォールも回避されたと書いてあって、さすがにそれはまずいな、と思った。
訴状の中で気になったのが、「著作権管理情報(CMI)を削除した」という点だ。
DMCA違反として損害賠償と差止命令を求めている。
CMIを意図的に剥がしてからデータを使っているなら、過失じゃなくて故意の話になる。
これは著作権の議論をかなり超えてくる。
スクレイパーを書く側として考えると
自分も個人開発でスクレイピングを書いたことがある。
requests + BeautifulSoup の定番構成で、公開APIがない情報を取るやつ。
そのとき一応確認したのは、robots.txt と利用規約だ。
「明示的に禁止されていなければグレー」くらいの感覚でいた。
ただ今回の訴状を読むと、ペイウォールで守られているコンテンツまで取っていたとある。
robots.txtを無視してアクセス制限を回避、というのはもうグレーじゃない。
OpenAIの広報は「フェアユースの原則に基づく」と言っているが、ペイウォール回避まで含めてフェアユースが通るかどうかは、さすがに怪しい。
自分がこういうコードを書くとしたら、最低限これだけはチェックする。
- robots.txt の Disallow を守る
- 利用規約にスクレイピング禁止の記載がないか確認する
- 認証・ペイウォール越えは絶対にやらない
- 取得したデータをモデルの学習に使う場合は別途ライセンスを確認する
当たり前に聞こえるかもしれないが、LLMの学習パイプラインを組むときにこれを真剣にやっているチームがどれだけあるか、正直わからない。
LLMを使う側にも飛び火する話
今の仕事でLLMのAPIを使ったプロダクトを触っている。
OpenAIのAPIを呼ぶコードを書いていると、こういう訴訟は「対岸の火事」には見えない。
自分が使っているモデルの学習データに何が入っているか、保証なんてされていない。
ニューヨーク・タイムズが最初に訴えたのが2023年12月。
そこから今回の400紙規模の集団訴訟まで、訴訟件数が積み上がっている。
裁判の結果次第では、モデルの利用規約や価格体系にも影響が出る可能性がある。
OpenAIはNews Corpとは複数年の契約を結んでいるという情報もある。
つまり交渉が成立するケースもある。
ただそれは一部の大手メディアの話で、今回の地元・地域紙はそのテーブルにすら呼ばれていなかった、というのが原告代理人の指摘だ。
構造としてえぐいな、と感じた。
自分のコードに直接影響があるとしたら、こういう訴訟が積み重なってAPIプロバイダのライセンス条件が変わるシナリオだ。
RAGで外部コンテンツを組み込む設計を考えているなら、今のうちに「何を取得してどう使うか」を設計レベルで整理しておいたほうがいい。
後から差し替えるはめになるのが一番しんどい。
自分のプロジェクトのデータソース周りの設計、もう一回見直してみようと思っている。