「AIがコペアレント」という言葉がマーケ脳に刺さった話

高橋 沙織
高橋 沙織 20代・ デジタルマーケター
Wiredで面白い記事を読んだ。チューリッヒ在住のブランドコンサルタントが、ChatGPTに育児相談したらバズって、フォロワーが3週間で2万7000人増えた話だ。

その人、Lilian Schmidtさんは「ChatGPTを自分のコペアレントにした」というTikTokを投稿して一気にバズった。自分でカスタムGPTまで作って、37ドルで販売している。

マーケターとして素直に思ったのは、「これ、コンテンツのフックとして相当強い」ということだ。

「AIが育児を助ける」ではなく「AIがパートナーより頼りになる」という切り口。これは刺さる。感情的な共感を呼ぶフレームで、インプレッションが取れるのは数字を見なくても想像できる。

「AI性別格差」という数字が気になった



記事の中に、2025年の調査結果として「女性は男性より20%以上、生成AIを日常で使う確率が低い」というデータが出てきた。これを「AI gender gap」と呼んでいるらしい。

正直、意外だった。自分の周りの女性はChatGPTをわりと使っている印象がある。でも、それはデジタルマーケの仕事をしている人たちに囲まれているバイアスで、全体で見ると男女差があるわけだ。

マーケ視点で言えば、これはターゲット設定に影響する話だ。AIツール系のプロダクトを広告で打つなら、女性向けのコンテンツやフレームを変えるだけでCVRが変わる可能性がある。

「使ってみたらどうだった」という実体験ベースの発信が、女性に刺さりやすいのかもしれない。Schmidt さんのTikTokが伸びた理由もそこにある気がする。育児の悩み → ChatGPTに相談 → 解決した → フォロワーが増えた、という流れは完全に「体験型コンテンツ」の構造だ。

SNS広告に引きつけて考えてみた



ここから完全に自分の仕事の話になるけど、このトレンドは広告クリエイティブの参考になる。

今、Meta広告でAI関連プロダクトのクリエイティブを作るとき、どうしても「効率化」「時短」「コスト削減」みたいな訴求になりがちだ。でも、Schmidt さんのコンテンツが伸びた理由はそこじゃない。「自分が楽になって、子どもとより向き合える」という感情的なベネフィットが軸だった。

ROASを最大化するために、クリエイティブのバリエーションをA/Bテストするとき、こういう「感情フック型」と「機能訴求型」を同時に走らせてみたい。仮説として、女性ターゲットのセグメントでは感情フック型のCPAが下がると思っている。

もう一つ気になったのは、TikTokとInstagramで訴求の変え方だ。同じAIツールでも、TikTokは体験談・ビフォーアフター系が伸びる。Instagramはビジュアルの世界観が先に来る。Schmidt さんはTikTokで爆発したケースで、これはプラットフォームとコンテンツフォーマットの相性が良かったとも言える。

DOL(米国労働省)の2022年調査によると、雇用されている母親は週に平均13.5時間余分に家事をこなし、育児に12.5時間を費やしているらしい。この数字は1975年比で40%増だ。

その「見えない負担」に向けてAIが訴求されているのなら、広告メッセージとしては「時間を返す」ではなく「余裕を返す」の方が正確なんだと気づく。言葉一つで、クリック率が変わる話だ。

Schimidtさんのケースは、ソーシャルリスニングのツールでモニタリングしておく価値があるトレンドだと思った。国内でも同じような発信をする「ママインフルエンサー × AI」の文脈が来たとき、早めにクリエイティブに落とし込んだ側が有利になる。先に数字を取っておきたい。

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