先週、社内の人事部門の部長から「営業DX推進部さんはAIをうまく使っているらしいですね」と声をかけられました。少し話を聞くと、求人票の作成や評価コメントの下書きに生成AIを使いたいのだけれど、どこから手をつければいいかわからない、という状況でした。
ちょうどその前日に、生成AIの人事活用に関する記事を読んでいたので、話は弾みました。記事によると、求人票・スカウトメールの作成、研修コンテンツの準備、評価フィードバックの文章化、スキルベースの人材配置提案、就業規則の草案作成といった5つの場面で生成AIが有効とのことでした。どれも「担当者が時間をとられがちな定型作業」という共通点があります。
正直なところ、最初は「人事部門の話だし、自分には直接関係ない」と思っていました。ところが読み進めるうちに、そうも言っていられないと気づきました。うちの部門でも、新入社員の受け入れ時に簡単な研修資料を部署内で作ることがあります。人事部が用意するほど大がかりではないけれど、担当を任された若手が半日かけて資料をゼロから作っている光景を何度も見ています。
部下に聞くと、「どこかにテンプレートがあるんですか」と毎年誰かが聞いてくる、という話でした。その都度ファイルサーバーを探し回って、3年前の資料を引っ張り出してきて手直しする。そこに数時間が消える。小さいようで積み重なると無視できない工数です。生成AIがその下書きを出してくれるだけでも、体感で半分以下に縮むはずです。
一方で、人事部門への展開となると、慎重にならざるを得ない部分もあります。うちは製造業で従業員が1500名規模です。評価コメントや人材配置の提案に生成AIが絡む場合、その出力をどこまで担当者の判断とみなすか、という問題が出てきます。経営陣は「AIが評価を決めた」という誤解をしやすいですし、そういう受け取り方をされると稟議の段階で止まります。
実際、半年前に別の部署でAIツールの導入稟議を出したとき、情報システム部門から「個人情報の取り扱い範囲を明確にせよ」という差し戻しがありました。そのときの教訓で言うと、ツールの機能説明よりも「どのデータを入力してはいけないか」の運用ルールを先に固めておくほうが審査を通りやすい。人事データは特に個人情報の塊ですから、社内セキュリティ要件との整合を最初から組み込んでおかないと、せっかくの提案が宙に浮きます。
記事でも「社外秘情報や個人情報をそのまま入力しない」「AIの出力を最終判断としない」というリスク対策が明記されていました。この2点はそのまま稟議書の「リスクと対策」欄に使えます。経営陣が気にするのは「どんないいことがあるか」より「何かあったときに誰が責任をとるか」です。その不安を先に消してやる構成にしないと、承認は取りにくい。
人事部長との会話に戻ると、彼女が一番困っていたのは「経営会議で費用対効果を聞かれたときに答えられない」という点でした。これは営業DXでも最初に直面した壁です。私が当時やったのは、対象業務の工数を先に記録してもらうことでした。たとえば求人票1件あたり何時間かかっているか、評価コメントの下書きに1サイクルで何時間かけているか。そこに時給換算をかけると、ざっくりした削減効果が出てきます。
感覚値ではなく記録ベースの数字があると、稟議書の説得力がまるで違います。人事部長にも「まず1か月、今の工数を記録してみてください」とお伝えしました。その数字が揃ったら、一緒に稟議の叩き台を作る約束をしています。
自分の部門での経験が、思わぬ形で隣の部署の役に立ちそうです。社内でこういう相談が増えてきたこと自体、会社全体のAIリテラシーが少しずつ底上げされているサインかもしれません。次のステップとして、部門横断の勉強会を提案するタイミングが近づいているように感じています。
ちょうどその前日に、生成AIの人事活用に関する記事を読んでいたので、話は弾みました。記事によると、求人票・スカウトメールの作成、研修コンテンツの準備、評価フィードバックの文章化、スキルベースの人材配置提案、就業規則の草案作成といった5つの場面で生成AIが有効とのことでした。どれも「担当者が時間をとられがちな定型作業」という共通点があります。
人事の話なのに、他人事でいられなかった理由
正直なところ、最初は「人事部門の話だし、自分には直接関係ない」と思っていました。ところが読み進めるうちに、そうも言っていられないと気づきました。うちの部門でも、新入社員の受け入れ時に簡単な研修資料を部署内で作ることがあります。人事部が用意するほど大がかりではないけれど、担当を任された若手が半日かけて資料をゼロから作っている光景を何度も見ています。
部下に聞くと、「どこかにテンプレートがあるんですか」と毎年誰かが聞いてくる、という話でした。その都度ファイルサーバーを探し回って、3年前の資料を引っ張り出してきて手直しする。そこに数時間が消える。小さいようで積み重なると無視できない工数です。生成AIがその下書きを出してくれるだけでも、体感で半分以下に縮むはずです。
稟議を通す前に「横展開のリスク」を整理しておく
一方で、人事部門への展開となると、慎重にならざるを得ない部分もあります。うちは製造業で従業員が1500名規模です。評価コメントや人材配置の提案に生成AIが絡む場合、その出力をどこまで担当者の判断とみなすか、という問題が出てきます。経営陣は「AIが評価を決めた」という誤解をしやすいですし、そういう受け取り方をされると稟議の段階で止まります。
実際、半年前に別の部署でAIツールの導入稟議を出したとき、情報システム部門から「個人情報の取り扱い範囲を明確にせよ」という差し戻しがありました。そのときの教訓で言うと、ツールの機能説明よりも「どのデータを入力してはいけないか」の運用ルールを先に固めておくほうが審査を通りやすい。人事データは特に個人情報の塊ですから、社内セキュリティ要件との整合を最初から組み込んでおかないと、せっかくの提案が宙に浮きます。
記事でも「社外秘情報や個人情報をそのまま入力しない」「AIの出力を最終判断としない」というリスク対策が明記されていました。この2点はそのまま稟議書の「リスクと対策」欄に使えます。経営陣が気にするのは「どんないいことがあるか」より「何かあったときに誰が責任をとるか」です。その不安を先に消してやる構成にしないと、承認は取りにくい。
投資対効果をどう数字で見せるか
人事部長との会話に戻ると、彼女が一番困っていたのは「経営会議で費用対効果を聞かれたときに答えられない」という点でした。これは営業DXでも最初に直面した壁です。私が当時やったのは、対象業務の工数を先に記録してもらうことでした。たとえば求人票1件あたり何時間かかっているか、評価コメントの下書きに1サイクルで何時間かけているか。そこに時給換算をかけると、ざっくりした削減効果が出てきます。
感覚値ではなく記録ベースの数字があると、稟議書の説得力がまるで違います。人事部長にも「まず1か月、今の工数を記録してみてください」とお伝えしました。その数字が揃ったら、一緒に稟議の叩き台を作る約束をしています。
自分の部門での経験が、思わぬ形で隣の部署の役に立ちそうです。社内でこういう相談が増えてきたこと自体、会社全体のAIリテラシーが少しずつ底上げされているサインかもしれません。次のステップとして、部門横断の勉強会を提案するタイミングが近づいているように感じています。