AIで作った画像、その著作権は誰のもの?

林 美里
林 美里 30代・ フリーランスデザイナー
最近、Midjourneyで生成した画像をクライアントに納品していいのか、正直ずっと迷っている。

コンプライアンスに関する記事を読んだ。生成AIの著作権リスクについて、かなり丁寧にまとめてあった。そこに書いてあったことで、ちょっと怖いと思ったのが「AI生成物による著作権・商標トラブル」という項目だ。既存のクリエイターの作風に似た画像を出力してしまうことで、意図しない侵害が起きる可能性があるとあった。

自分のことを振り返ると、ヒヤリとする場面は確かにあった。ロゴのモックアップを作るとき、参考画像をプロンプトに混ぜて使ったことがある。あのとき何が生成されたのか、今でもちゃんとわかっていない。

「便利」と「怖い」が同居している日々



フリーランスになって5年、最初の2〜3年はイラストレーターでひたすら手を動かしていた。AIツールを本格的に使い始めたのは去年の夏ごろで、Adobe Fireflyを触ったのがきっかけだった。Fireflyは学習データにAdobe Stockの素材を使っているとされていて、その点ではまだ安心感がある。でも、Midjourneyはそうじゃない。どんなデータで学習しているかの透明性が低い。

パートナーに「なんでそんな不安なの、使えばいいじゃん」と言われたことがある。でも、私にとっては道具の話じゃない。自分がデザインとして納品したものの著作権が誰にあるのか、そもそも曖昧なままというのは、職業的に怖い。フリーランスはトラブルが起きたとき、全部自分に返ってくる。

記事には「対策を怠れば個人情報保護法違反による罰金やブランド毀損といった実害が自社に及ぶ」とも書いてあった。企業向けの話ではあるけど、フリーランスにとっても同じ構造だ。むしろクッションになる組織がない分、ダメージは直撃する。

ツールとの距離感、まだ正解がわからない



AIツールをどう使うかの「自分ルール」を、ちゃんと言語化できていなかった、というのが正直なところだ。感覚的に「これは使っていい」「これはグレー」と判断してきたけど、根拠が薄い。

今の自分なりの使い方は、こんな感じだ。

  • ラフスケッチの段階で方向性を確認するためにAI画像を使う
  • クライアントへの納品物にAI生成をそのまま入れない
  • Fireflyで生成したものは出所を記録しておく


ただ、これを「ルール」と呼ぶには曖昧すぎる。クライアントに「このデザインにAI使ってますか」と聞かれたとき、どう答えるかも決めていない。聞かれたことはまだないけど、いつか聞かれるはずだ。

美術館でプリントや版画を見るとき、刷り師の技術とデザイナーの意図がどう交わっているかを考えることがある。活版印刷をたまに触るのも、そういう「誰の手が入っているか」への感覚を忘れたくないからかもしれない。AIが介在したとき、その感覚がどこかに消えてしまう気がして、それがずっと引っかかっている。

でも、使わないと競合に負けるというのも本当のことだ。スピードも、アイデアの幅も、明らかに変わってくる。迷いながら使っているのが今の自分の状態で、その迷いをそのまま持ち続けることが、今は誠実なやり方なのかもしれない。

次にやろうと思っているのは、自分なりの「AI使用ポリシー」を一枚の文書にまとめることだ。クライアントに見せるかどうかより先に、自分の頭を整理したい。

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