Metaが私の投稿を学習する、それってどういうこと

林 美里
林 美里 30代・ フリーランスデザイナー
Facebookが「AI Mode」という検索機能を始めた、というニュースを読んだ。Meta AIが公開投稿の内容を学習して、検索結果を生成するというものらしい。「Muse Spark」というAIモデルが、FacebookだけじゃなくInstagramやThreadsの投稿も横断的に拾っていくと書いてある。

ちょっと待って、と思った。

私はInstagramに作業過程の写真を結構な頻度で投稿している。活版印刷のワークショップに行ったときの記録とか、新しいロゴ案のラフスケッチとか。あれって全部「公開投稿」なんだよね。つまりMeta AIの学習データになり得る。正直、そこまで深く考えてなかった。

自分のアウトプットがAIの燃料になる感覚



デザイナーとして、MidjourneyやAdobe Fireflyは普段から使っている。クライアントに提案するムードボードを素早く作ったり、配色のバリエーションを出したりするときに便利だ。でも使いながらずっと引っかかっていることがある。自分のデザインセンスを磨くために外に出している情報が、回り回ってAIを鍛えていないか、という感覚。

今回のMetaのニュースは、その感覚を具体的な形で突きつけてきた。

「人々が公開で発信していることをもとに答えを返す」と記事にはある。それはユーザーにとって便利かもしれない。でも私の側から見ると、意図せず学習データを提供している、ということでもある。Googleが以前Redditのスレッドを検索結果に取り込んで問題になったのと、構造的には似ている。

パートナーにこの話をしたら「それって嫌なの?」と聞かれた。即答できなかった。嫌かどうかより、選べていないことが気になる、と答えた。投稿をやめるか、続けるか。その二択しかない。グラデーションがない。

使う側と使われる側が重なるジレンマ



AIツールを積極的に使っているくせに、こういうことを言うのは矛盾してるかもしれない。でも「使う」と「使われる」は全然違う話だ。

Midjourneyでムードボード案を10枚出力するとき、私はそのAIをコントロールしている。プロンプトを試行錯誤して、出てきた画像から選んで、クライアントに合う方向性を判断しているのは自分だ。そのプロセスに自分が介在している実感がある。

でも今回のMetaの仕組みは逆だ。私が日常的に発信したもの、考えたことの断片が、私の知らない誰かの検索結果に影響を与えていく。しかもそれを止めようとすると、投稿をやめるしかない。独立してから5年、SNSでの発信はクライアント獲得の大事な導線だった。今更やめるという選択肢は現実的じゃない。

ロゴやブランディングの仕事をするとき、私はクライアントに必ず「このビジュアルをどう使いたいか」を確認する。二次利用の範囲、改変の可否。それが普通のプロセスだと思っているから、自分の発信が何にどう使われるかを知らされないことには、やっぱり引っかかる。

Metaの新機能はまだ日本では本格展開していないと思う。でも時間の問題だろう。FacebookよりInstagramに生活の記録が多い自分には、もう少し自分事として考えておく必要がある。

とりあえず、今夜は過去の投稿の公開範囲をもう一度見直してみるつもりだ。全部を非公開にはしないけど、何を外に出して何を内側に置くか、そのラインを自分なりに引き直してみる。

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