先日、The Vergeの記事でMicrosoftがXbox誕生25周年を記念した限定モデルを発表したのを読みました。透明グリーンのデザインで、初代Xboxの「OG Green」をオマージュしたものだそうです。1TBのストレージを搭載したXbox Series Xがベースで、正面のXボタンが緑に光る仕様とのこと。
ゲームにまったく縁がない自分でも、この記事を読んでひとつ気になったことがあります。それは「25年という歴史をどう見せているか」という点です。製品の性能を語るより先に、コミュニティへの感謝とルーツへの敬意を前面に出している。Jason Ronald副社長のコメントにあった「the community that's been with us along the way(ずっとそばにいてくれたコミュニティへ)」という言葉が、なぜか引っかかりました。
私が今抱えている課題のひとつに、DX投資の継続承認があります。部下25名の組織で、昨年度からSFAの刷新とAIツールの部分導入を進めてきました。初年度の費用対効果は数字として出ています。ところが、経営陣に次フェーズの予算を求めるとなると、一段と説明が難しくなる。
「初年度は試験導入だから承認しやすい」というのはよくある話で、私の会社でも同じです。二年目・三年目になると「では具体的に売上にどう効いているのか」という問いが鋭くなります。SFA上の案件管理工数が月あたり何時間削減されたかは出せます。ただ、それが受注率の改善につながっているかどうかの因果を示すのは、正直なかなか難しい。
Xboxの話に戻ると、Microsoftは25年という期間を「失敗も含めた歴史」として可視化し、ファンを巻き込む形でリリースを組み立てています。コントローラーの背面が透明になっていて内部構造が見える設計というのも、技術への敬意と透明性の演出だと感じました。DX推進の社内コミュニケーションにも、これに近い発想が使えるのではないか、とふと思ったのです。
先月、部下のひとりが作ってきた次期予算の稟議草案を見て、少し手直しをお願いしました。数値の羅列はきちんとしていたのですが、なぜこのプロジェクトを始めたか、現場の何が変わったか、という文脈がすっぽり抜けていたからです。
たとえば、AIによるトークスクリプト支援を試験導入した担当者が、初月に商談準備時間を週あたり約2時間短縮できたという話があります。その担当者は「以前は前日夜に資料を見直していたのが、当日の朝に余裕を持って確認できるようになった」と言っていました。数字としては小さく見えるかもしれませんが、こういったエピソードが経営陣の記憶に残ります。
稟議書は事実を並べる文書ですが、承認するのは人間です。Microsoftがゲームコミュニティの感情に訴える形で25周年を演出したように、社内の意思決定者にも「この取り組みはどこから来て、どこへ向かっているか」が伝わらないと、数字だけでは動いてもらえません。
もちろん、ゲーム機の限定モデルと社内稟議はまったく違うものです。セキュリティ要件の確認書類、ベンダーとのSLA、コスト比較表、これらは一切省略できません。ただ、それらを支える文脈として「現場が変わった手触り」を盛り込む余地は、どんな稟議書にも必ずあります。
今期の第3四半期が終わったら、来期予算の稟議書作成に入ります。自分が直接書く部分と、部下にたたき台を作らせる部分に分けて進める予定です。
今回Xboxの記事を読んで決めたのは、冒頭の一段落を「なぜこのDXを始めたか」の原点から書き起こすことにする、ということです。投資対効果の表は必ず付けます。ただ、その前に「1500名の営業組織が抱えていた非効率の実態」を、現場の声を借りて一段落で書く。そのうえで数値を示す順番に変えてみます。
透明なデザインで内部を見せる、というXboxのアプローチが少し羨ましくもあります。製造業の営業DXは、地味に見えてなかなか「見せ方」が難しい領域ですが、そこを丁寧に作り込むのが自分の仕事だと改めて感じました。
ゲームにまったく縁がない自分でも、この記事を読んでひとつ気になったことがあります。それは「25年という歴史をどう見せているか」という点です。製品の性能を語るより先に、コミュニティへの感謝とルーツへの敬意を前面に出している。Jason Ronald副社長のコメントにあった「the community that's been with us along the way(ずっとそばにいてくれたコミュニティへ)」という言葉が、なぜか引っかかりました。
なぜゲーム機の話が営業DXの参考になるのか
私が今抱えている課題のひとつに、DX投資の継続承認があります。部下25名の組織で、昨年度からSFAの刷新とAIツールの部分導入を進めてきました。初年度の費用対効果は数字として出ています。ところが、経営陣に次フェーズの予算を求めるとなると、一段と説明が難しくなる。
「初年度は試験導入だから承認しやすい」というのはよくある話で、私の会社でも同じです。二年目・三年目になると「では具体的に売上にどう効いているのか」という問いが鋭くなります。SFA上の案件管理工数が月あたり何時間削減されたかは出せます。ただ、それが受注率の改善につながっているかどうかの因果を示すのは、正直なかなか難しい。
Xboxの話に戻ると、Microsoftは25年という期間を「失敗も含めた歴史」として可視化し、ファンを巻き込む形でリリースを組み立てています。コントローラーの背面が透明になっていて内部構造が見える設計というのも、技術への敬意と透明性の演出だと感じました。DX推進の社内コミュニケーションにも、これに近い発想が使えるのではないか、とふと思ったのです。
投資継続の稟議に「物語」を入れるという発想
先月、部下のひとりが作ってきた次期予算の稟議草案を見て、少し手直しをお願いしました。数値の羅列はきちんとしていたのですが、なぜこのプロジェクトを始めたか、現場の何が変わったか、という文脈がすっぽり抜けていたからです。
たとえば、AIによるトークスクリプト支援を試験導入した担当者が、初月に商談準備時間を週あたり約2時間短縮できたという話があります。その担当者は「以前は前日夜に資料を見直していたのが、当日の朝に余裕を持って確認できるようになった」と言っていました。数字としては小さく見えるかもしれませんが、こういったエピソードが経営陣の記憶に残ります。
稟議書は事実を並べる文書ですが、承認するのは人間です。Microsoftがゲームコミュニティの感情に訴える形で25周年を演出したように、社内の意思決定者にも「この取り組みはどこから来て、どこへ向かっているか」が伝わらないと、数字だけでは動いてもらえません。
もちろん、ゲーム機の限定モデルと社内稟議はまったく違うものです。セキュリティ要件の確認書類、ベンダーとのSLA、コスト比較表、これらは一切省略できません。ただ、それらを支える文脈として「現場が変わった手触り」を盛り込む余地は、どんな稟議書にも必ずあります。
「見せる設計」を、次の稟議書で試してみる
今期の第3四半期が終わったら、来期予算の稟議書作成に入ります。自分が直接書く部分と、部下にたたき台を作らせる部分に分けて進める予定です。
今回Xboxの記事を読んで決めたのは、冒頭の一段落を「なぜこのDXを始めたか」の原点から書き起こすことにする、ということです。投資対効果の表は必ず付けます。ただ、その前に「1500名の営業組織が抱えていた非効率の実態」を、現場の声を借りて一段落で書く。そのうえで数値を示す順番に変えてみます。
透明なデザインで内部を見せる、というXboxのアプローチが少し羨ましくもあります。製造業の営業DXは、地味に見えてなかなか「見せ方」が難しい領域ですが、そこを丁寧に作り込むのが自分の仕事だと改めて感じました。