生成AIの人事活用、マーケ視点で読んだら見えてきたこと

高橋 沙織
高橋 沙織 20代・ デジタルマーケター
人事部門向けの生成AI活用記事を読んだ。求人票やスカウトメール、研修資料、評価コメントの下書きといった定型業務をAIで回すことで、担当者が面談や戦略立案に集中できる、という話だった。

自分はマーケ担当なので、人事の業務フローに直接は関係ない。でも読んでいて、妙に既視感があった。

「広告文の量産」と「求人票の量産」は同じ構造だった



自分が毎日やっていることを思い出してほしい。Meta広告のクリエイティブABテスト用に、バリエーションを10パターン出す。TikTokのキャプションを5パターン作る。LP上部のコピーを3案比較する。これを手書きでやると1時間かかる作業が、ChatGPTに任せると15分で終わる。実際に自分のチームで測ったら、コピー生成の工数が週あたり約3時間削減できた。

AINOWの記事で挙げられていた「求人票やスカウト文の作成」「研修資料の準備」「評価コメントの下書き」も、要は「決まった構造を持つ文章を大量に出力する業務」だ。コンテキストを与えて、トーンを指定して、出力させる。プロセスはほとんど同じだと気づいた。

違うのは、その後の計測環境があるかどうかだ。

数字で評価できない業務にAIを入れるのは怖い



広告文であれば、CVRやCPAで良し悪しが即わかる。「AIが生成したコピーAはCTR2.1%、手書きのコピーBは1.7%。じゃあAを伸ばす」という判断が翌日にはできる。ROASで見ても、クリエイティブ変更前後の差は1〜2週間もあれば数値に出てくる。

でも人事の評価コメントとか、研修資料の質って、どうやって測るんだろう。記事では「担当者が面談や戦略立案に集中できる状態をつくる」とあったが、その「集中できた効果」を可視化するKPIは書かれていなかった。

自分がもし人事担当だったら、まずAI導入の前後で「書類選考のターンアラウンドタイム」か「問い合わせ対応の平均返信時間」を計測ポイントに設定すると思う。数値化できる業務から入って、効果が見えてから次のシーンに広げる。マーケでAI導入するときに自分がやってきたのと同じ順序だ。

去年、TikTok広告のキャプションを全部AI生成に切り替えたとき、最初の2週間はインプレッションもCTRも変わらなくて「やっぱり品質落ちてるのかも」と焦った。でも4週目に入ってCTRが1.4%→1.9%に上がった。計測していなかったら、その変化に気づかずに手動に戻していたと思う。

自分の業務に引き戻して考えた使い方



記事を読んで一番刺さったのは「採用ターゲットに響く訴求を強化できる」というポイントだった。

これ、広告でいうオーディエンス別クリエイティブの話と完全に重なる。25〜34歳女性向けのMeta広告と、35〜44歳男性向けのMeta広告では、同じ商品でもコピーを変える。それと同じように、エンジニア向けのスカウト文とデザイナー向けのスカウト文は別のトーンで書くべきだ、ということをAIがやれるという話だった。

自分のチームで今やっていることをそのまま人事チームに横展開できる感じがした。プロンプトの設計さえちゃんとすれば、職種・シニアリティ・バックグラウンドごとにパーソナライズした文章を出力できる。


  • ターゲット属性をプロンプト冒頭に明示する

  • 「この人が気にしそうな不安・期待」を1行で与える

  • 出力後に読んだ人間が必ずレビューして最終判断を下す



この3ステップは広告文でも採用文でも変わらない。

いずれ社内の別チームと情報交換する機会があれば、この視点を持ち込んでみる。マーケの計測ノウハウが人事のAI活用に使えるなら、それはそれで面白い話になりそうだ。

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