OpenAIとMolecule.oneが共同で発表した話を読んで、正直ちょっと動揺した。GPT-4.5を使った「ほぼ自律型のAI化学者」が、創薬研究における難しい化学反応を改善したというニュースだ。
デザイナーの私が化学の話に動揺する、というのも変に聞こえるかもしれない。ただ、これって化学の話じゃないと思う。「専門性の高い領域でAIが人間の代わりに判断を下した」という話だ。それが私にはすごく刺さった。
デザインの仕事でも、最近似たような場面が増えてきた。MidjourneyやAdobe Fireflyを使って、クライアントのブランドカラーや雰囲気を入力すると、それっぽいビジュアルが数秒で出てくる。最初はすごく便利だと思っていた。実際、提案フェーズで見せるラフモックアップを作る時間は、以前の三分の一くらいになった気がする。
でも、あれ、この「正解」って誰が出したんだっけ、と思う瞬間がある。私がプロンプトを書いた。でもアウトプットを生んだのはAI。クライアントがそれを気に入ったとして、私はそこに何を乗せたんだろう、って。
Molecule.oneのケースで言うと、AIが実験プロセスを自律的に回して化学反応を最適化した。研究者はそこに何人かいたんだろうけど、最終的に「改善された反応」を生み出したのはAIシステムだ。それって創薬の現場で何を意味するのか、私には専門的なことはわからない。ただ、「俺が考えた」と言いにくくなる感覚は、なんとなく想像できる。
パートナーに先週この話をした。彼は建築の仕事をしていて、AIパース生成ツールをすでに使っている。「最初は手を動かしてたのに、今は指示するだけになってきた」と言っていた。
迷う。AIを使わないと競合に負ける、という感覚はもうずっとある。フリーランスで独立して5年、単価の話をするたびに「クラウドソーシングで安くできますよ」と言われる経験を何度かしてきた。そこにAIツールが加わって、単価の根拠はさらに薄くなってきている。
でも全部任せると、私じゃなくていい、になる。ちょっと怖い、というか、かなり怖い。
今の私のやり方は、こういう感じに落ち着いている。
これで今は折り合いをつけているけど、正直いつまでこのバランスが成立するかはわからない。
Molecule.oneの研究者たちがこのAIシステムをどう受け止めているのか、記事からはあまり読み取れなかった。喜んでいるのか、複雑なのか。たぶん両方なんじゃないかと勝手に想像している。
専門性があればあるほど、AIに肩代わりされる感覚は大きい。薬を作る化学者も、ロゴを作るデザイナーも、そこは同じだ。知識と経験を積んできたほど、「これ、AIでいいじゃん」と言われるリスクがある。
活版印刷が好きなのも、たぶんそういうことと関係している。手を動かして、ズレが出て、それでも形になる過程に、機械には出せないものがある、と信じていたい気持ちがある。でも「信じていたい」というのは、裏を返せば自信じゃなくて願望なんだよな、とこの記事を読んでまた思った。
とりあえず今週末、久しぶりに手を動かしてロゴを一本、ツールなしで引いてみようと思っている。それが答えになるわけじゃないけど、自分の手の感覚を確認したい。
デザイナーの私が化学の話に動揺する、というのも変に聞こえるかもしれない。ただ、これって化学の話じゃないと思う。「専門性の高い領域でAIが人間の代わりに判断を下した」という話だ。それが私にはすごく刺さった。
AIに「正解」を出された感覚
デザインの仕事でも、最近似たような場面が増えてきた。MidjourneyやAdobe Fireflyを使って、クライアントのブランドカラーや雰囲気を入力すると、それっぽいビジュアルが数秒で出てくる。最初はすごく便利だと思っていた。実際、提案フェーズで見せるラフモックアップを作る時間は、以前の三分の一くらいになった気がする。
でも、あれ、この「正解」って誰が出したんだっけ、と思う瞬間がある。私がプロンプトを書いた。でもアウトプットを生んだのはAI。クライアントがそれを気に入ったとして、私はそこに何を乗せたんだろう、って。
Molecule.oneのケースで言うと、AIが実験プロセスを自律的に回して化学反応を最適化した。研究者はそこに何人かいたんだろうけど、最終的に「改善された反応」を生み出したのはAIシステムだ。それって創薬の現場で何を意味するのか、私には専門的なことはわからない。ただ、「俺が考えた」と言いにくくなる感覚は、なんとなく想像できる。
「自分が消える」という怖さの正体
パートナーに先週この話をした。彼は建築の仕事をしていて、AIパース生成ツールをすでに使っている。「最初は手を動かしてたのに、今は指示するだけになってきた」と言っていた。
迷う。AIを使わないと競合に負ける、という感覚はもうずっとある。フリーランスで独立して5年、単価の話をするたびに「クラウドソーシングで安くできますよ」と言われる経験を何度かしてきた。そこにAIツールが加わって、単価の根拠はさらに薄くなってきている。
でも全部任せると、私じゃなくていい、になる。ちょっと怖い、というか、かなり怖い。
今の私のやり方は、こういう感じに落ち着いている。
- コンセプト設計と「なぜこのデザインか」の言語化は自分でやる
- Fireflyはテクスチャやカラーバリエーションの試行に使う
- 最終的な判断とクライアントへの説明は必ず自分が主語になる
これで今は折り合いをつけているけど、正直いつまでこのバランスが成立するかはわからない。
化学者もデザイナーも同じ岐路に立っている
Molecule.oneの研究者たちがこのAIシステムをどう受け止めているのか、記事からはあまり読み取れなかった。喜んでいるのか、複雑なのか。たぶん両方なんじゃないかと勝手に想像している。
専門性があればあるほど、AIに肩代わりされる感覚は大きい。薬を作る化学者も、ロゴを作るデザイナーも、そこは同じだ。知識と経験を積んできたほど、「これ、AIでいいじゃん」と言われるリスクがある。
活版印刷が好きなのも、たぶんそういうことと関係している。手を動かして、ズレが出て、それでも形になる過程に、機械には出せないものがある、と信じていたい気持ちがある。でも「信じていたい」というのは、裏を返せば自信じゃなくて願望なんだよな、とこの記事を読んでまた思った。
とりあえず今週末、久しぶりに手を動かしてロゴを一本、ツールなしで引いてみようと思っている。それが答えになるわけじゃないけど、自分の手の感覚を確認したい。