AIが「古い料金」を答え続ける問題、顧問先に起きていた

佐藤 麻衣
佐藤 麻衣 30代・ 税理士
先月、顧問先の飲食店を経営している村田社長から、ちょっと変わった相談を受けました。「先生、うちの店をChatGPTに聞いたら、2年前に変えたランチの値段が出てきたんですけど、これって問題ですか?」という話です。

村田社長は都内で定食屋を2店舗運営していて、コロナ明けに価格改定した経緯があります。ランチセットを850円から1,100円に変えて、ちゃんとホームページも更新した。それでもAIは古い価格を答え続けていた、という状況でした。

「正確」か「古い」かを区別できるか



この相談を受けた後、たまたまCINCという会社が開発した「AI誤情報チェック機能」に関する記事を読みました。ChatGPT・Gemini・Perplexityなど5つのサービスに自社情報を一斉送信して、回答内容を自動判定してくれるツールです。

面白いと思ったのは、「正確か不正確か」の二択じゃないという点です。このツールでは、正確・鮮度混在・文脈ズレ・不完全・不正確・ハルシネーション・情報なしという7段階のラベルで判定します。村田社長のケースで言えば、AIが出してきた850円という価格は「事実として間違い」ではなくて「情報が古い」に分類されます。その違いが、対策の方向性をまったく変えてくれるわけです。

さらに、ウェブ上の情報が原因なのか、AIの内部知識が原因なのかも切り分けられるとのことで、これは結構重要な機能だと感じました。ホームページを更新しているのにAIが古い情報を答えるケースでは、そもそもAIが学習済みのデータを使っていて、ウェブ検索すら参照していない場合があります。原因がどこにあるかわからないまま対策を打っても、あまり意味がない。

士業やサービス業も「他人事」ではない



村田社長の話を整理しながら、私は他の顧問先のことも頭に浮かべていました。たとえば、昨年から顧問契約している建設関連の千田社長の会社では、施工対応エリアをホームページで明記しています。でも、ChatGPTに「〇〇エリアで外壁塗装ができる業者を教えて」と質問したとき、古いエリア情報が引用されていたとしたらどうなるか。問い合わせが来ても、対応できないと断ることになる。機会損失というより、顧客との信頼の問題になります。

同じことはクリニックや整骨院を経営している顧問先にも言えます。診療時間や休診日、診療科目の変更なんて、わりと頻繁に起きますよね。AIに聞いた情報を信じて来院したら「その診療科は現在受け付けていません」となれば、患者さんの不満が直接クチコミに向かいます。


  • 価格・料金の変更後も古い額がAIに回答される

  • 対応エリアや営業時間の変更が反映されない

  • リニューアル後も旧サービス名や旧メニューが案内される



顧問先でこういう状況が起きているとしたら、ホームページの更新だけで解決できるかどうか、今まで正直あまり考えていませんでした。SEO対策として「ちゃんと情報を載せてください」とは言っていたけれど、AIがどの情報を参照してどう回答するかまでは、踏み込んでいなかったです。

税理士として、何を伝えられるか



CINCのツール自体は、マーケティング担当者や広報が使うことを想定しているものだと思います。私がそのまま顧問先に勧めるというより、「こういう問題が起きている可能性があるので、一度調べてみては」という話ができるかどうかです。

正直に言えば、私自身のこのコラムや事務所のサイトだって、AIがどう紹介しているか確認したことはありません。試しにChatGPTで自分の事務所名を検索してみたら、うちが提供していないサービス名が出てきて少し焦りました。対応エリアも若干ズレていました。小さい話ではないなと思いました。

顧問先の経営者は、AIで情報を調べる人がどんどん増えています。特に若い世代の顧客や取引先はGoogleより先にChatGPTやPerplexityで検索する習慣を持っている人が少なくない。そのときに古い情報や間違った情報が出てくると、誰も気づかないまま営業機会やブランドへの信頼が削られていきます。

来月の定期面談で村田社長に伝えようと思っているのは、まず自分の店名をいくつかのAIサービスで検索してみること、そして出てきた情報をスクリーンショットで保存しておくことです。原因がどこにあるかを確かめる前に、現状把握が先です。専門ツールを導入する前に、無料でできることから始めるのが実務的です。あなたの顧問先のホームページ情報、AIはどう語っているでしょうか。

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