GoogleのAI検索がリテール消費に与える変数

松田 翔
松田 翔 40代・ 個人投資家
2026年は「ヴィンテージ」や「how to thrift」の検索量が過去最高を記録した年だ、とGoogleが発表した。消費トレンドとして面白いと思ったのはそこじゃなく、GoogleがAI Modeを使ったリサーチ体験を検索のコアに据えてきたという動き自体だ。

Google検索にAI Modeを組み込んで、フリマや古着のリサーチを自然言語でできるようにする。その構図を見た瞬間、脳みそが自動的に「これはどの銘柄に効くか」という方向へ動いた。投資家として染み付いた反射だと自分でも思う。

消費行動の変化はどこに織り込まれているか



Google検索への「ヴィンテージ」流入増は、リセールプラットフォームの出品数・成約数に直結する可能性がある。eBayやMercari、Poshmarkといったプレイヤーへの送客がGoogleのAI機能と連携すれば、プラットフォーム側の流動性が変わる。eBay株はここ数年、低迷が続いているが、Googleとのトラフィック連携でGMV(流通総額)が回復するシナリオは十分あり得る。

いっぽうでGoogleそのもの、つまりAlphabet(GOOGL)への影響はどう読むか。AI Modeの強化は検索広告の単価と連動する。中古・ヴィンテージカテゴリの広告主が増えれば、CPC(クリック単価)が押し上げられてAlphabetの収益に乗ってくる。今の株価はそこまで完全には織り込んでいないと見ている。少なくともマーケットのコンセンサスより楽観的なシナリオが1つ追加された、という認識だ。

先週、元同僚の木下と食事をした。証券時代からの付き合いで、いまは独立してFAをやっている。「AI検索がリテールを変えるっていう話、松田どう見てる?」と聞かれた。正直に答えたのは、「直接の消費刺激より、プラットフォームと広告市場への波及を見たほうがいい」という話だ。

為替とAI投資テーマの組み合わせ



GoogleのAI機能拡充という話題を、純粋なテクノロジー株の話としてだけ捉えるのはもったいない。円ドル相場でも無関係ではない。米国の大手テクノロジー企業の業績見通しが上方修正されるタイミングと、ドル買い圧力には相関がある。AlphabetがAI広告収益で市場予想を超えてくるシナリオでは、ドル円の上値余地が広がる可能性を考えておく必要がある。

自分は今、ドル円のロングポジションを小さく持っている。エントリーの根拠はFOMCの動向と米国雇用統計が中心だが、こうしたAI系の強材料が積み上がってくれば、下値リスクを少し小さく見てもいいと判断している。もっとも、ファンダメンタルズが強いからといってポジションを大きくするのは自分のルールに反する。シナリオの追加確認に使う程度だ。

それともう一つ気になっているのが、GoogleがAI SearchにGeminiモデルをどこまで深く統合しているか、という点だ。今回の記事に「Generative AI is experimental」という注釈があった。まだ実験的な位置づけだとすれば、商用化のスピードはこれから加速する余地がある。株価への織り込みは、実際の収益貢献より先行するのが常だ。

この手の記事を読むとき、消費者向けの機能説明は正直流し読みする。見ているのは「どの事業部がこれを主導しているか」「マネタイズのパスはどこか」という2点だ。Google Shoppingと検索広告の両方に波及する構造なら、Alphabetにとってのアップサイドは単純計算より大きい。

今週末に子どもと会う予定がある。向こうが古着屋に行きたいと言っていた。その店でのやり取りを観察しながら、実際のユーザー行動を少し確認してみようと思っている。現場を見ることは、数字を読む前提条件だと昔から決めている。

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