AI Overviewsが来てから、オーガニックの数字が変わった

高橋 沙織
高橋 沙織 20代・ デジタルマーケター
先月、担当サイトのGA4を眺めていて、妙なことに気づいた。オーガニックのセッション数はほぼ横ばいなのに、直帰率が下がっている。それも無視できない幅で。原因を追っていたら、AI Overviewsが表示されているクエリで来訪したユーザーのエンゲージメント率が上がっていた。ちょうどそのタイミングで、Clickstream SolutionsとSurfer SEOが出した分析レポートの解説記事を読んで、あ、これだ、と腑に落ちた。

分析対象は米国のGoogle検索セッション84万6,000件。2026年の2〜3月のクリックストリームデータだ。自分が体感していたことが、数字として出てきた感覚があった。

SERPはもう「通過点」じゃなくなっている



このレポートで一番刺さったのは、AI Overviewsが表示されているSERPでのユーザー行動だ。カーソルの移動範囲がビューポートの83%まで広がっている。AI Overviewsなしの場合は66%。そして、カーソルが静止している時間の割合が44%で、なしの場合は29%だった。

静止時間が長い、というのはつまり、ユーザーが画面を見ながらちゃんと読んでいるということだ。スキャンじゃなくて、精読に近い状態。上方向へのスクロール量も、AI Overviewsがある場合は総スクロール量の47.5%が「戻り」の動きだった。なしの場合は27%しかない。

これが何を意味するかというと、SERPがすでに比較検討の場になっているということだ。ユーザーはサイトに来る前から、検索結果ページ上で選択を始めている。自分たちが広告やSEOで「サイトに来てもらうこと」を目標にしていた時代の前提が、少しずつ崩れている。

コンテンツSEOで記事を作るとき、私はずっと「いかにクリックさせるか」を考えてきた。タイトルのCTR改善、ディスクリプションの最適化、構造化データの整備。でも、AI Overviewsで引用される位置に入れるかどうか、引用された上でクリックまで繋げるかどうか、という軸が加わってきた感じがする。

AI ModeとAI Overviewsは別物として考える



同じレポートに、AI Modeのデータも出ていた。こちらは逆の傾向だ。重要度の高い購入タスクで、88%のユーザーがAIの候補リストをそのまま受け入れている。74%が1位に表示された項目を選ぶ。そして64%のセッションで外部クリックが一切発生しない。

AI Modeはほぼクローズドループとして機能している。ユーザーがGoogle外に出てこない。広告換算でいえば、インプレッションはあってもクリックに繋がらない状態に近い。CPAもROASも計算できないまま、認知だけが消費されていく。

これをAI Overviewsと同じ最適化で扱おうとするのは間違いだ、とレポートでは指摘されている。私も同感だ。AI Overviewsで引用されることと、AI Modeで1位に入ることは、必要なアクションがたぶん違う。前者は「比較の土俵に乗ること」、後者は「AIに選ばれるブランドになること」に近い。


  • AI Overviewsで引用される → SERPで複数回読まれ、比較判断に影響する

  • AI Modeで上位に入る → クリック自体が発生しないが、選択肢に残る

  • どちらも従来のオーガニックCTRの指標とは別の評価軸が必要



自分が今、クライアントサイトのSearch Consoleを見るとき、クリック数とインプレッションの比率だけで判断するのに限界を感じ始めている。AI Overviewsに引用されているクエリでのユーザー行動を、もう少し細かく追えないか、今週中にGA4のカスタムレポートを組んでみるつもりだ。

体感ではなくデータで確認できれば、次のコンテンツ戦略にそのまま使える。まずそこからだ。

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