先日、顧問先の居酒屋チェーンを経営している田村社長から連絡が来ました。「先生、Web担当者Forumってサイト知ってますか? 6月末の1週間だけでマーケティング系のウェビナーが85件もあるって書いてあって、どれ行けばいいか全然わからなくて」というメッセージでした。
田村社長は都内で5店舗を運営されていて、最近はInstagramの運用を頑張っているものの、どうしても集客の波が読めないと悩んでいます。年商はざっくり1億円ちょっとくらい。スタッフは20名弱で、マーケティング専任なんていません。社長本人が合間を縫ってSNSを更新しているような体制です。
送られてきたリンクを開くと、確かに圧倒されます。SEO、データ分析、CRM、MA、Power BIによるGA4ダッシュボード作成のコツ……。無料ウェビナーがずらっと並んでいて、1時間足らずのものがほとんどです。参加費は無料が基本なので、コスト面では気軽に見えます。でも、田村社長にとって本当に役立つものはどれか、となると話は別です。
リストを流し見しながら私が思ったのは、「顧問先に必要なのは知識のインプットより、今の数字を正確に把握することじゃないか」ということです。田村社長の場合、freeeの会計データを見ると、店舗ごとの損益がまだきちんと可視化できていません。集客セミナーで新しい手法を学ぶ前に、どの店舗に投資すべきかの判断軸がないと、せっかくの施策も空振りになります。
それを正直に伝えたら、田村社長は少し黙った後に「そういやうちって、どの店が一番儲かってるか先生しか知らないですよね」とおっしゃいました。確かにそうなんです。私は月次で数字を見ていますが、社長本人がリアルタイムで損益を把握できる仕組みになっていない。
こういう相談を受けるたびに、自分の答え方が3年前と変わってきたと感じます。独立したての頃は、「面白そうですね」「一度試してみてはどうですか」みたいな返し方をしていました。でも今は、まずその会社の現状の数字と照らし合わせて、優先順位を一緒に考えるようにしています。
たとえばリストの中に、「なぜ再購入するのか?の見つけ方|顧客理解から考えるCRM戦略・分析術」というRepro株式会社主催のウェビナーがありました。CRM戦略の話で、再購入顧客の分析に踏み込む内容のようです。田村社長の居酒屋では、リピーター管理はほぼ感覚頼みです。予約システムの履歴データは一応あるのですが、それをマーケティングに活かしている様子はありません。このウェビナーなら聞く価値があるかもしれない、と判断しました。
もう一つ気になったのは、「広報の見えない貢献をデータで証明するには?」というADDIXとビルコム共催のセミナーです。これは飲食業というより、少し規模感が違う会社向けの内容に見えました。田村社長には今は必要ないと正直に言いました。85件から2件に絞る。そのくらいの取捨選択が、顧問として私の仕事だと思っています。
セミナーを紹介した後、田村社長とは別の話もしました。freeeの「部門別損益」の機能をちゃんと使いましょう、という提案です。今は全店舗まとめて会計を処理しているため、どの店舗が利益を引っ張っているのかが月次レポートを読まないとわかりません。部門設定を整えれば、社長自身がダッシュボードを見て判断できるようになります。
ウェビナーで新しいマーケティング手法を学ぶのは悪いことではありません。でも、現場の数字が見えていない状態で施策を打っても、効果測定ができません。田村社長が「集客に力を入れたい」と言うなら、まず「どの店舗に集客するのか」「今の客単価はいくらか」「リピート率はどれくらいか」を整理してからでないと、85件の中のどのセミナーも素通りになってしまいます。
無料ウェビナーが週に85件も開催される時代です。情報は溢れているのに、自社の数字を把握できていない経営者はまだたくさんいます。顧問として私が提供できる価値は、そのギャップを埋める部分にあると、田村社長との電話の後に改めて感じました。次の月次ミーティングでは、freeeの部門設定から手をつけるつもりです。
田村社長は都内で5店舗を運営されていて、最近はInstagramの運用を頑張っているものの、どうしても集客の波が読めないと悩んでいます。年商はざっくり1億円ちょっとくらい。スタッフは20名弱で、マーケティング専任なんていません。社長本人が合間を縫ってSNSを更新しているような体制です。
85件のセミナーリストを一緒に見て気づいたこと
送られてきたリンクを開くと、確かに圧倒されます。SEO、データ分析、CRM、MA、Power BIによるGA4ダッシュボード作成のコツ……。無料ウェビナーがずらっと並んでいて、1時間足らずのものがほとんどです。参加費は無料が基本なので、コスト面では気軽に見えます。でも、田村社長にとって本当に役立つものはどれか、となると話は別です。
リストを流し見しながら私が思ったのは、「顧問先に必要なのは知識のインプットより、今の数字を正確に把握することじゃないか」ということです。田村社長の場合、freeeの会計データを見ると、店舗ごとの損益がまだきちんと可視化できていません。集客セミナーで新しい手法を学ぶ前に、どの店舗に投資すべきかの判断軸がないと、せっかくの施策も空振りになります。
それを正直に伝えたら、田村社長は少し黙った後に「そういやうちって、どの店が一番儲かってるか先生しか知らないですよね」とおっしゃいました。確かにそうなんです。私は月次で数字を見ていますが、社長本人がリアルタイムで損益を把握できる仕組みになっていない。
「先生、これ使えますか?」への答え方が変わってきた
こういう相談を受けるたびに、自分の答え方が3年前と変わってきたと感じます。独立したての頃は、「面白そうですね」「一度試してみてはどうですか」みたいな返し方をしていました。でも今は、まずその会社の現状の数字と照らし合わせて、優先順位を一緒に考えるようにしています。
たとえばリストの中に、「なぜ再購入するのか?の見つけ方|顧客理解から考えるCRM戦略・分析術」というRepro株式会社主催のウェビナーがありました。CRM戦略の話で、再購入顧客の分析に踏み込む内容のようです。田村社長の居酒屋では、リピーター管理はほぼ感覚頼みです。予約システムの履歴データは一応あるのですが、それをマーケティングに活かしている様子はありません。このウェビナーなら聞く価値があるかもしれない、と判断しました。
もう一つ気になったのは、「広報の見えない貢献をデータで証明するには?」というADDIXとビルコム共催のセミナーです。これは飲食業というより、少し規模感が違う会社向けの内容に見えました。田村社長には今は必要ないと正直に言いました。85件から2件に絞る。そのくらいの取捨選択が、顧問として私の仕事だと思っています。
数字の解像度を上げることが先決
セミナーを紹介した後、田村社長とは別の話もしました。freeeの「部門別損益」の機能をちゃんと使いましょう、という提案です。今は全店舗まとめて会計を処理しているため、どの店舗が利益を引っ張っているのかが月次レポートを読まないとわかりません。部門設定を整えれば、社長自身がダッシュボードを見て判断できるようになります。
ウェビナーで新しいマーケティング手法を学ぶのは悪いことではありません。でも、現場の数字が見えていない状態で施策を打っても、効果測定ができません。田村社長が「集客に力を入れたい」と言うなら、まず「どの店舗に集客するのか」「今の客単価はいくらか」「リピート率はどれくらいか」を整理してからでないと、85件の中のどのセミナーも素通りになってしまいます。
無料ウェビナーが週に85件も開催される時代です。情報は溢れているのに、自社の数字を把握できていない経営者はまだたくさんいます。顧問として私が提供できる価値は、そのギャップを埋める部分にあると、田村社長との電話の後に改めて感じました。次の月次ミーティングでは、freeeの部門設定から手をつけるつもりです。