Googleが「一次ソース」を優遇する時代に、社労士のHPは生き残れるか

伊藤 健太
伊藤 健太 40代・ 社会保険労務士
先日、気になる記事を読んだ。Googleの2026年3月コアアップデートの分析で、検索結果に大きな変化が起きているというのだ。

SEO専門家のリリー・レイ氏によると、今回のアップデートで「公式」「一次ソース」「権威ある情報源」が検索結果の上位を占めるようになったらしい。反対に、他人の情報をまとめたアグリゲーターやSNSのUGC(ユーザー生成コンテンツ)の露出が大きく落ちたとのこと。

健康・金融分野では、NIH(国立衛生研究所)やFDA(食品医薬品局)、IRSといった一次情報源や政府ドメインが伸び、WebMDやNerd Walletのような比較・まとめ系サイトが露出を失ったという話が特に刺さった。

「まとめ記事」を書き続けてきた自分に刺さる話



これを読んで、自分のことを考えた。

社労士として開業して10年。顧問先は30社ほど。ホームページには労働法改正の解説記事や助成金の概要をまとめたコンテンツを載せてきた。いわば「厚生労働省の情報をわかりやすく噛み砕いた記事」だ。

でも今回のアップデートが示しているのは、Googleがそういうまとめ記事よりも「情報の出所そのもの」を優先し始めたということだ。厚生労働省の公式ページや、e-Govの法令データベースが検索上位に来て、自分が書いた解説記事が埋もれていく未来が見えた気がした。

旅行業界では、Booking.comのようなOTAが落ちて、ヒルトンや航空会社の公式サイトが上位に来るようになったという。これを社労士業界に置き換えると、「助成金まとめ記事」を書いている社労士のブログより、厚労省の公式ページが先に表示されるということになる。

では社労士が発信すべきことは何か



ただ、ここで焦って記事をやめる必要はないと思っている。

今回の分析で「勝者」になったのは、単なる情報提供者ではなく「そこでしか得られないものを持つ存在」だ。ヒルトンが強くなったのは、ヒルトンのホテルを実際に予約できるからだ。独自のトランザクション機能や、他では得られない専門性があるサイトが生き残った。

自分が社労士として出せる「一次情報」は何だろう。法律の解説ではなく、顧問先30社を見てきた中で気づいた現場の話だと思う。たとえば「育児・介護休業法の改正で、実際にどういう就業規則の変更が必要になったか」とか「雇用調整助成金の申請でつまずきやすいポイント」とか。これは厚労省のHPには書いていない。

AI時代の検索が「公式・一次情報」を優遇するなら、自分が一次情報になるしかない。そう考えると、発信の方向性がはっきりしてくる。

法律の概要を解説することにエネルギーを使うのをやめて、自分が実際に顧問先で見てきたことを書く。採用書類の作り方で困っている経営者に、実際の相談事例をもとに書く。給与計算の現場でどんなミスが起きやすいかを書く。そういう記事だけが、これからのGoogleに拾ってもらえる気がしている。

次の更新では、顧問先で最近よく聞かれる「時間外労働の上限規制」について、実際の相談内容をベースにした記事を書いてみるつもりだ。あなたの事務所のホームページには、「あなただけが書ける記事」がいくつありますか?

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