先週、AINOWの記事を読みました。AIエージェントについての解説記事です。
生成AIと何が違うのか、正直なところ自分もぼんやりとしか理解できていなかったのですが、記事を読んでようやく整理できました。生成AIは「質問すれば答えてくれる」ものです。一方のAIエージェントは、目標を伝えるだけで自ら計画を立てて実行まで進めてくれる。この差は、稟議書に落とし込む言葉として使えると感じました。
「効果が頭打ち」という現場の声を聞いていた
実は今年の3月頃から、部下の何人かが「ChatGPTを使っているけど、正直もう慣れてしまって効果を感じにくい」と言い始めていました。部下25名のうち、日常的にChatGPTを使っているのはざっと15名前後です。使っている、はいるけれど、それが本当に工数削減につながっているか数値で示せていないという状態でした。
記事の中に、「効果が出やすい業務の見極め方」として処理件数が多く判断基準が明確な業務を選ぶという話が出てきます。私たちの部門でいえば、顧客訪問前の情報収集と提案書の初稿作成が真っ先に浮かびました。月に部門全体で約300件の提案書を作っています。初稿に1件あたり平均1.5時間かかっているとすれば、単純計算で月450時間です。ここをエージェントに任せられるなら、経営陣への説明資料としてかなり説得力が出ます。
投資対効果をどう数字にするか、が勝負どころ
経営陣に上げる稟議の場合、「便利そう」では絶対に通りません。毎回痛感しています。2年前にSFA刷新の稟議を通したときも、導入前後の訪問件数と受注率の変化を3パターンのシナリオで試算して、ようやく役員会で承認が下りました。あのときと同じように、今回もKPIを先に決めておく必要があります。
記事では「効果測定に使う指標を先に決めておく」「小さく始めて効果を確認してから広げる」という二段構えの進め方が紹介されていました。これはそのまま私たちのプロセスにも使えます。まずパイロット部署を3〜4名に絞って3か月動かし、提案書作成の工数と受注までのリードタイムを計測する。その数字を持って第2フェーズの本格展開の稟議を書く、という流れが現実的だと感じています。
一方で、社内セキュリティ要件という壁は毎回あります。顧客情報を外部のAPIに渡すことへの懸念は、情報システム部門から必ず指摘されます。ここはベンダー選定の段階で、データの外部送信ポリシーとログ管理の仕様を確認しておかないと後で稟議が止まります。以前、あるクラウドツールの導入で情報システム部門との合意形成に3か月余分にかかった苦い経験があります。今回はその轍を踏まないようにしたいと思っています。
来週、部下の中で一番ツール活用に積極的な若手を呼んで、まず自分の業務でどう使えるか一緒に整理してみるつもりです。現場の肌感覚と投資対効果の数字を両方揃えてから、初めて稟議書のドラフトに入る。その段取りが、うちの会社では一番スムーズに進むやり方です。
記事を読んで改めて感じたのは、AIエージェントの話をするとき、「何ができるか」よりも「どの業務から始めるか」を先に決めることが現場には刺さるということです。経営陣には数字、現場には具体的な業務イメージ、情報システム部門にはセキュリティ仕様。三方向の説明を同時に準備しておかないと、どこかで話が止まります。それが推進部長という立場の仕事だと、最近しみじみ思います。