AI検索時代に「質の高い情報」を届ける医療発信とは

吉田 誠一
吉田 誠一 40代・ クリニック院長
最近、SEOやAIと検索の関係について書かれた記事を読んだ。内容はウェブマーケター向けなのだが、読み進めるうちに「これ、クリニックの情報発信にも直結する話だ」と気づいた。

記事の中で印象的だったのは、Googleの検索クエリ数が2024年から2025年にかけて約20%増えたという数字だ。一方で、1件の検索あたりのクリック数は減っている。AIが質問に直接答えてしまうので、わざわざリンク先を開かなくなっているらしい。

患者さんは今、どうやって情報を探しているか



「逆流性食道炎 症状」「胃カメラ 怖い」——こういった検索をする人は、もはやクリニックのホームページを開かなくても、AIがその場で答えを返してくれる時代になりつつある。うちのクリニックのサイトが検索上位に出ていても、実際に読んでもらえる機会は減っているかもしれない。

でも、ここで焦って「AIに拾われる文章」を大量に作ればいいかというと、話はそう単純じゃない。記事の中では「生成AIが無限に文章を作れる今、質の高いコンテンツとは何か」という問いが立てられていた。答えは明快だった。AIには生成できない情報、つまり「実際の経験」「固有の視点」「現場でしか得られない事実」だ。

医師として発信できるものは、実はAIに真似できない



私が外来で患者さんによく聞かれることがある。「ネットで調べたら怖いことばかり書いてあって」という一言だ。AIが生成する医療情報は、確かに正確さの面で向上している。ただ、「この患者さんの不安の背景にあるもの」まで汲んだ説明はできない。

医師として発信するとしたら、汎用的な病気の説明より「なぜこの検査をすすめるのか」「どんな患者さんが多く来ているか」という、現場の肌感覚を込めた情報の方がずっと価値がある。それはAIがいくら学習しても、私のクリニックの診察室の空気は知らないからだ。

もう一点、記事で気になったのはChromeやブラウザの話だ。PerplexityやChatGPTのような企業が独自ブラウザを開発しているのは、「ユーザーが何を有用と感じるか」を追跡するためだという。つまり、AI側もどんどん「信頼される情報源を見極める」精度を上げてくる。信頼性が低いコンテンツは、AIにも選ばれなくなっていく。

診療の質と情報発信の質は、実は同じ軸にある気がしている。患者さんへの説明を丁寧に積み重ねていくのと同じように、発信する言葉も「この人に伝わるか」を軸に考えていく。それだけのことかもしれない。

自分のクリニックのサイトを久しぶりに見直してみようと思う。AIに書かせた文章と、自分が書いた文章が混在していないか、確認するところから始めてみるつもりだ。

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