AIで映画を作る時代に、スタートアップのブランディングはどう変わるか

木村 俊介
木村 俊介 30代・ スタートアップ創業者
Googleが350万ドルの映画コンペを始めた、というニュースを読んだ。
XPRIZEとRange Media Partnersと組んで、短編映画を募集するというものだ。
AIツール「Google Flow」を使って作られた作品も受け付ける。

最初は「ふーん」くらいの感覚だった。
でも読み進めていくうちに、自分の頭の中で別の話が動き始めた。

競合がコンテンツで差をつけ始めているという現実



先週、投資家との面談でこんな話が出た。
「最近、ピッチデッキより動画で世界観を見せてくるスタートアップが増えてる」と。
じゃあうちはどうかと聞かれたら、正直まだデッキと口頭説明の組み合わせだ。

Googleのコンペの仕組みを見ると、グランプリ受賞者には3分の短編を長編映画に仕上げるための制作サポートまでつくらしい。
つまり、映像を作るハードルを下げることが明確な目的として設計されている。

映像制作が「大企業だけのもの」じゃなくなる流れは、もうかなり前から来てはいた。
でも今回のような350万ドル規模のコンペが動くと、一気に「普通のこと」になる。
競合が採用ページに本格的なカルチャー動画を載せ始めるのも、時間の問題だと思う。

採用とセールスに使えるかどうか、という視点で整理してみた



自分が気になるのはシンプルで、「これはうちの採用とセールスに効くか」という一点だ。
AIで映像が作れるようになると、何が変わるかを少し整理してみた。

採用の文脈で言うと、求職者は今や会社のSNSや動画を事前にめちゃくちゃ見てくる。
8人のチームで、30秒〜1分の「なぜこの会社にいるか」動画をメンバーが語る。
それをAIで編集して採用ページに置く、というのはすでにやれる話だ。

セールスで言うと、デモ動画の質が一段上がる可能性がある。
スクリーンキャプチャとナレーションの組み合わせじゃなくて、ちゃんとしたストーリー構成の映像が作れる。
提案資料に埋め込むだけで、受け取った側の印象は変わると思っている。

資金調達という観点では、「世界観を映像で伝える」ことへの期待値は上がり続けている。
投資家への説明でも、数字とスライドだけじゃなくて「この会社が向かう未来」を見せる手段として、短い映像は有効だと感じている。

August 2026年まで応募受付中というスケジュール感を見ると、今まさに映像制作のリテラシーが問われる時期に入ってきた気がする。

結局、ツールより「何を見せるか」の解像度が問われる



正直に言うと、AIで映像が作れるようになっても、センスと目的意識がない人が作ったものはすぐわかる。
Googleのコンペが「楽観的でテクノロジー前向きな未来像」を条件にしているのは示唆的だ。
ツールが民主化されると、逆に「どんな未来を見せたいか」という解像度の差がそのまま出る。

採用でも同じで、「うちは福利厚生があります」じゃなくて「なぜ自分がここで働いているか」を語れるメンバーがいるかどうか。
そこが問われる。

自分は来週、チームメンバー1人に「なぜこの会社にいるか」を話してもらって、スマホで撮ってみるつもりだ。
まずそこからだと思う。

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