開いているタブ全部をAIが読む時代、稟議書にどう書く?

石井 雅之
石井 雅之 50代・ 大手製造業・部長
先週、Microsoftが発表したEdgeのCopilot新機能を読んで、少し考え込んでしまった。

内容をざっくり言うと、Edgeで開いているタブ全部の情報をCopilotが横断的に読んで、質問に答えてくれるというものだ。複数の商品ページを比較したり、開きっぱなしの記事をまとめて要約させたりできる。それだけじゃなく、見ているページをもとにAIがポッドキャストを生成する機能や、「Study and Learn」モードという、記事をクイズ形式の学習セッションに変換する機能まで追加される。

これ、個人として使う分にはシンプルに便利だと思う。ただ、部署で導入を検討するとなると、話は少し変わってくる。

「タブを全部読む」がセキュリティ部門にどう映るか



今回の機能で気になったのが、CopilotにブラウジングのHistory(閲覧履歴)へのアクセス権限を与えると、より精度の高い回答が返ってくるという点だ。Microsoftはこれを「relevant, high-quality answers」という言葉で説明している。

うちの会社のセキュリティ部門がこれを聞いたら、まず「どのデータがどこに送られるのか」という話になる。社内の調達システムを開いているタブと、競合他社の情報を調べているタブが同時に存在するケースは、営業現場では日常茶飯事だ。そのタブ情報が全部AIに読まれるとなれば、情報漏洩リスクの観点から確認が必要になる。

これは導入を反対したいわけじゃない。むしろ整理してから稟議に乗せたい、という話だ。

稟議書に書くべきことが変わってきた



少し前まで、AIツールの稟議書は「何ができるか」を書けばよかった。でも最近は「何にアクセスするか」「誰がそのデータを見るか」を先に書かないと、経営陣から止められるケースが増えてきた印象がある。

今回のEdge Copilotで言えば、Microsoftが「どの機能を使うかは自分で選べる」と説明している点は、稟議書的にはプラス材料になる。全部オンにしなくていい、という選択肢があることは、セキュリティ要件が厳しい現場にとって重要な論点だ。

私が部下に使わせる場合、まず試させたいのは複数タブの横断要約だと思う。営業資料を作るとき、複数のサイトを開きながら情報を手でまとめる作業が今でも多い。そこの時間を削れるなら、生産性向上の数字としても説明しやすくなる。

また、Copilot Modeという以前あった機能は廃止されて、エージェント的な機能は「Browse with Copilot」に統合されたという。こういう機能の統廃合は、ベンダー選定のときに見落としがちなポイントだ。「あの機能はどこに行ったのか」という混乱が現場で起きやすいので、導入前に機能マップをきちんと整理しておく必要がある。

あなたの会社では、ブラウザレベルのAI機能に対して、情シスやセキュリティ部門はどういうスタンスを取っているだろうか?

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