クラウドツールに預けたデータは本当に安全なのか

林 美里
林 美里 30代・ フリーランスデザイナー
Canvasというオンライン学習プラットフォームが大規模な障害を起こした。原因はShinyHuntersというハッキンググループによるデータ侵害で、275万人どころか2億7500万人もの学生・教職員のデータが漏洩した可能性があるという。

このニュースを読んで、正直ゾッとした。

クラウドツールへの「丸投げ」に慣れすぎていた



私はデザインの仕事でAdobeのクラウドサービスやFigma、さらにMidjourneyといったAIツールを日常的に使っている。クライアントのブランドデータ、ロゴのソースファイル、打ち合わせのメモ。気づけばほとんどをクラウド上に置いてきた。

「大手サービスだから大丈夫」という感覚、正直あった。でもCanvasを運営するInstructureは侵害後にセキュリティパッチを当てたと発表したにもかかわらず、ShinyHuntersは「無視された」と主張してデータをリークすると脅している。9000校のデータが対象だというから、対応したつもりが穴だらけだったということになる。

これ、他人事じゃない。

データを預けることと、仕事を預けることは別の話



私がAIツールに感じているジレンマは「全部任せると自分が消える」という感覚だ。でも今回気づいたのは、それとは少し違う怖さがあるということ。

自分のデザインの判断軸を手放すことへの不安は前からあった。でも今回の件は、クライアントから預かったデータそのものが危険にさらされるという話だ。信頼関係で成り立っているフリーランスにとって、これは致命的になりかねない。

Midjourneyで生成したラフ案を共有するとき、Adobe Fireflyでブランドカラーのパターンを試すとき、どのデータがどこに保存されているか、ちゃんと把握できているだろうか。自分で把握していない情報を、クライアントに説明できるだろうか。

考えてみると、答えが出てこない部分がある。

クラウドツールを使うことで仕事のスピードは上がった。でもセキュリティの管理責任まで考えると、利便性の裏側にある見えにくいリスクを、自分はあまりにも軽く扱ってきたと思う。

「パッチを当てました」で終わりにした結果、期限付きで全データを公開すると脅されたInstructureのケースは、対応の甘さがどれだけ深刻な事態を招くかを見せてくれた。

フリーランスである自分には大企業レベルのセキュリティ対応は難しい。でもせめて、どのツールにどんな情報を置いているかを整理することはできる。クライアントの機密に触れるデータは、利便性だけで保存先を選ばない。そこだけでも意識を変えようと思っている。

今週中に、自分が使っている主要ツールのデータ保存ポリシーをひとつずつ確認してみるつもりだ。

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