AIデータセンターの電力問題、DX推進担当者が知っておくべきこと

石井 雅之
石井 雅之 50代・ 大手製造業・部長
先日、The Vergeのデータセンター特集記事を読んでいて、正直ちょっと驚いた。

アメリカ人の43%が「電気代が上がった主な原因はデータセンターだ」と考えているというPew Research Centerの調査結果が出たらしい。しかも共和党支持者も民主党支持者も、ほぼ同じ割合でそう思っているというから、もはや政治的な立場を超えた話になっている。

「遠い国の話」では済まない理由



これを読んで最初に思ったのは、「日本も数年後に同じ議論になるんじゃないか」ということだ。

記事にはユタ州で4万エーカーのデータセンター計画が承認されたという話も出てくる。完成時の消費電力は9ギガワット。これ、ユタ州全体の現在の電力消費量(4ギガワット)の2倍以上だ。一つのプロジェクトが州全体を超える電力を使う、という規模感を改めて数字で見ると、頭がくらっとした。

私が担当している営業DXの文脈で考えると、こういうインフラの話は「自分たちには関係ない」と思いがちだ。でも、SaaSやクラウドAIをどのベンダーから調達するかを決める立場にいる以上、このあたりの事情は知っておく必要があると感じた。

ベンダー選定の判断軸が変わってくるかもしれない



正直、今までのベンダー評価では電力消費や環境負荷はほぼノーチェックだった。見ていたのはこのあたりだ。

  • 機能要件と自社システムとの連携
  • セキュリティ認証(ISO27001など)の取得状況
  • サポート体制と契約条件
  • コストと稟議通過のしやすさ


ところが、経営陣への説明を考えたとき、ESGや環境対応を重視する動きが製造業でも強まっている。「そのAIサービス、どこのデータセンターを使っていて、電力源は何ですか?」という質問が役員から飛んでくる日も、そう遠くない気がしている。

今の段階で準備しておくとしたら、ベンダーに対して「データセンターの電力調達方針」を確認する質問を評価シートに一項目加えておくことだ。答えられないベンダーは、それだけで一つ減点要素になる。

稟議を通す側の目線で考えると



経営陣にDX投資を説明するとき、コスト削減や生産性向上だけを前面に出すのがこれまでのパターンだった。でも最近は「社会的リスクへの対応」を織り交ぜた説明のほうが刺さる場面が増えてきた実感がある。

「このAIツールを導入することで、将来的な電力・環境リスクへの対応にもなります」という一言を添えられるかどうか。些細なことに見えるが、役員室での反応はかなり変わる。

今回の記事はあくまでアメリカの話だが、こういう波は必ず日本にも来る。ジョージア州では地元有権者の47%がデータセンター開発に反対しているという調査もあって、住民感情の問題まで広がっている。

自分は来週、現在使っているクラウドAIサービスのベンダーに対して、データセンターの電力調達に関する情報を問い合わせてみるつもりだ。どんな回答が返ってくるか、それ自体がそのベンダーの成熟度を測るいい機会になると思っている。

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