AIエージェントの記事を読んで、なんだかしばらく画面をぼーっと見てしまった。
目標を伝えるだけで自ら計画・実行するAI、という説明がずっと頭に残っている。
採用の求人広告を自動で作って、コンタクトセンターの応答時間を削って、広告素材をまとめて出力する。
そういう「処理件数が多くて判断基準が明確な業務」に効果が出やすい、と記事には書いてあった。
正直、最初に感じたのは安堵だった。
デザインって、判断基準が明確じゃないじゃないか。
「このロゴ、なんか違う」を言語化するのに30分かかることだってある。
だからエージェントには向いてないんだ、と思いかけた。
でも、ちょっと待って、と自分に言い聞かせた。
「向いてない」で安心してる自分が怖い
クライアントとのやりとりを思い返すと、明らかに「判断基準が明確な作業」は混ざっている。
たとえば、納品後の修正履歴をまとめてドキュメントに書き出す作業。
Figmaのファイルに名前をつけてフォルダ分けする作業。
請求書を作って送って、入金確認してスプレッドシートに記録する、あの一連の流れ。
こういうのは、全部「判断基準が明確で、処理件数が多い」んじゃないか。
迷う。
AIエージェントが向いている業務の条件に、自分の事務作業がそこそこ当てはまっている。
でも、なぜかその部分をエージェントに任せることへの抵抗が、MidjourneyやAdobe Fireflyへの抵抗とは質が違う気がする。
デザインをAIに任せるのは「自分が消える」感覚で怖い。
でも事務作業をAIに任せるのは、ただ単純に怖い。
なんで怖いんだろう、と少し考えて、たぶん「管理していない感覚」なんだと気づいた。
自分でやっているから、請求もれに気づけるし、クライアントの名前を間違えずに済んでいる。
そこをごそっと渡したら、自分は何を把握してるんだろう、という不安がある。
使う怖さと使わない怖さ、どっちが大きいか
去年、Midjourneyを初めて業務に使ったとき、似たような感覚があった。
パートナーに「怖いなら使わなきゃいいじゃん」と言われて、それが逆に火をつけた。
使わないことで競合に負ける怖さのほうが、じわじわと大きくなってきたからだ。
今は、Adobe Fireflyでテクスチャやカラーバリエーションを試す作業を取り入れている。
ゼロからすべてFireflyに任せるわけじゃない。
自分のラフがあって、そこに選択肢を広げるツールとして使っている。
その使い方に落ち着くまで、結構時間がかかった。
AIエージェントも、たぶん同じプロセスをたどるんだろう、とうっすら思っている。
「全部任せる」から始めると怖い。
でも「判断基準が明確で、件数が多くて、自分がいちばん面倒だと感じている部分」だけ切り出して試す、という入り方なら、まだ想像できる。
記事には「小さく始めて効果を確認してから広げる」という話も出ていた。
その順番は、Fireflyを使い始めたときと同じだ。
ロゴ一本まるごとFireflyで、なんて最初からしなかった。
小さいパーツで試して、自分の目で確認して、少しずつ範囲を広げた。
ただ、事務作業って、失敗したときのリカバリーがデザインより見えにくい気がする。
ロゴが変だったら自分でわかる。
請求書が間違ってたら、クライアントから指摘されて初めて気づく。
そこが、ちょっと怖い。
独立して5年、事務まわりは全部自分でやってきた。
そのぶん、ミスの怖さを体で知っている。
美術館で版画を見ているときみたいに、「これは自分でやらないとわからない」と感じる作業と、「正直もう手放したい」作業が、混在しているんだと思う。
とりあえず今週、自分の業務を書き出してみるつもりだ。
向いている・向いていないを自分なりに仕分けしてから、次を考える。