人手不足で試したAI、居酒屋3店舗の正直な話

中村 恵
中村 恵 40代・ 飲食業・経営者
東京商工リサーチが6327社に聞いた調査結果を見て、少し驚いた。大企業では「会社として活用を推進」が36.4%、「部門によっては活用を推進」が22.6%で、合わせると約6割が組織的にAIを動かしているらしい。大手がそこまで進んでいるのか、と。

一方、中小企業は「方針は決めていない」が38.7%でトップ。「個人で活用していることもある」が27.7%で続く。これはかなりリアルな数字だと思う。うちもまさにこのパターンだった。

始まりは採用じゃなくてシフトだった



動機はシンプルだ。アルバイトが急に休んだとき、代わりを探す連絡が本当に面倒くさい。グループLINEに投げても誰も反応しない。結局自分が電話をかけまくる。それが週に何度も続いて、「もうさすがに限界だ」と思った。

それでスタッフのひとりに相談したら、「シフト調整のメッセージ文をAIに作らせてみましょうか」と言われた。最初は正直、そんなことで何が変わるんだろうと思っていた。でも試してみたら、文章を考える手間がごそっと減った。「〇〇さん、来週の土曜17時から入れますか?」という一言でも、状況を説明しながら柔らかく伝える文を毎回考えるのは地味に疲れる。それが秒で出てくるのは、小さいようで大きかった。

食材ロスも「記録する手間」が消えるだけで変わった



次に使い始めたのが、食材管理のメモ整理だ。3店舗あると、どこで何がどれだけ余ったかを把握するのがとにかく煩雑だった。各店のスタッフに毎日報告させても、書き方がバラバラで集計に時間がかかる。

そこでAIに「この3店舗分のメモを整理して、ロスが多い食材をリストアップして」と投げるようにした。精度が100%とは言えないけど、自分でエクセルと格闘するよりずっと早い。浮いた時間で、仕入れ量の見直しを考える余裕ができた。

インスタの投稿文も同じだ。お店の写真は撮れても、毎回キャプションを考えるのが地味にしんどかった。季節感のある一文、お客さんに刺さりそうな言葉。AIに「居酒屋、秋の鍋メニュー、温かみのある文で」と入力するだけで、叩き台が出てくる。全部そのまま使うわけじゃないけど、ゼロから考えるより断然ラクだ。

調査では「人員構成への影響はない」と答えた企業が46.5%だった。ただ「既存業務の効率化で従業員を配置転換する可能性がある」が28.9%、「総従業員数を抑制する可能性がある」が16.1%と続く。うちの規模でそこまでの話は今はないけど、「効率化で人の動かし方が変わる」という感覚は、少し理解できる気がした。

「方針は決めていない」のままでいるのは、もったいない



中小企業の4割近くが「方針は決めていない」という状態にある。それがダメだとは思わない。ただ、シフト管理でもインスタでも食材ロスでも、困っていることは絶対あるはずだ。そこから試してみれば、大きな方針なんて後からついてくる。

自分が最初にやったことは、スタッフへのLINE文をひとつAIに作らせてみただけだ。それだけで「あ、使えるかも」と感覚が変わった。まずは今週、困っている作業をひとつだけ選んで、AIに投げてみてほしい。

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