先日、建設業と製造業、それから福祉施設を顧問先に持つ仲間の社労士と話していて、ちょっと気になるニュースを教えてもらった。業種特化型のERPに生成AIとRPAを組み合わせて、アナログ業務を丸ごと置き換えようとしているサービスが出てきているらしい。建設・製造・福祉の3業種を対象にしていて、「現場のあたりまえを変える」というコンセプトで展開しているという話だった。
正直、最初は「またDXの話か」と思った。でも少し聞いてみると、自分の顧問先にも直結する話だと気づいた。
私の顧問先に小規模の障害者グループホームがある。職員が10名ちょっとで、シフト管理と給与計算を毎月手作業でやっている。夜勤・早番・遅番が複雑に絡み合っていて、タイムカードを目視で集計して、Excelに転記して、給与ソフトに入力する。これを事務員さん一人が抱えている。
毎月25日前後になると「また間違えました」という連絡が来る。修正して再計算して、社会保険の控除額も確認して……というループを繰り返している。残業代の計算ミスは最悪の場合、労基署案件になる。ヒヤリとする月が年に2〜3回はある。
生成AIとRPAでこの部分が自動化されるなら、事務員さんの負担は相当減る。そして私への「緊急の確認電話」も減るはずだ。
時間外労働の上限規制が建設業にも適用されて、顧問先の工務店では現場の勤怠管理が一気に厳しくなった。以前は「現場は現場で完結」という文化があって、誰が何時間働いているかが本社に上がってこない状態が続いていた。
今はさすがにそうはいかないのだが、現場監督が自分でスマホに入力して、それを集計して……という運用がまだ紙ベースと混在している。月次で集計すると残業が上限ギリギリだった、という話を毎月のように聞く。もっとリアルタイムで把握できる仕組みがあれば、私も早めに「このペースだと危ない」とアドバイスできる。
今回の記事で紹介されていた取り組みは、こういった業種ごとの「現場特有の複雑さ」に対応しているところが面白いと思った。汎用のERPではなく、業種に特化しているから現場のフローに合わせて設計されている。一般的なシステムを無理やり当てはめようとして失敗する、あのパターンを避けられる可能性がある。
ただ、私が気になるのはコスト面だ。中小企業のDX支援というコンセプトならば、顧問先が実際に導入できる価格帯かどうかが一番の問題になる。従業員20人以下の会社に月額数十万のシステムを勧めても意味がない。その点はまだ情報が少なくて、判断できていない。
社労士として顧問先に何かを勧めるとき、私は「これで助成金が使えるか」を必ず確認する習慣がある。IT導入補助金やキャリアアップ助成金との組み合わせで初期費用を抑えられるなら、話の持ち出し方が変わってくる。今のタイミングで動けば補助率が高い制度もまだ残っているので、そこと連動できるかどうかを来月の顧問先訪問で確認してみるつもりだ。
「現場のあたりまえを変える」というのは、実は簡単なことじゃない。長年のやり方を変えることへの抵抗は、経営者よりも現場の人のほうが強いことが多い。システムを入れても使われなければ意味がない。その「定着」の部分を誰が支援するかが、DXが成功するかどうかの分かれ目だと私は思っている。
正直、最初は「またDXの話か」と思った。でも少し聞いてみると、自分の顧問先にも直結する話だと気づいた。
福祉施設の勤怠管理、あれは本当につらい
私の顧問先に小規模の障害者グループホームがある。職員が10名ちょっとで、シフト管理と給与計算を毎月手作業でやっている。夜勤・早番・遅番が複雑に絡み合っていて、タイムカードを目視で集計して、Excelに転記して、給与ソフトに入力する。これを事務員さん一人が抱えている。
毎月25日前後になると「また間違えました」という連絡が来る。修正して再計算して、社会保険の控除額も確認して……というループを繰り返している。残業代の計算ミスは最悪の場合、労基署案件になる。ヒヤリとする月が年に2〜3回はある。
生成AIとRPAでこの部分が自動化されるなら、事務員さんの負担は相当減る。そして私への「緊急の確認電話」も減るはずだ。
建設業の2024年問題、まだ終わっていない
時間外労働の上限規制が建設業にも適用されて、顧問先の工務店では現場の勤怠管理が一気に厳しくなった。以前は「現場は現場で完結」という文化があって、誰が何時間働いているかが本社に上がってこない状態が続いていた。
今はさすがにそうはいかないのだが、現場監督が自分でスマホに入力して、それを集計して……という運用がまだ紙ベースと混在している。月次で集計すると残業が上限ギリギリだった、という話を毎月のように聞く。もっとリアルタイムで把握できる仕組みがあれば、私も早めに「このペースだと危ない」とアドバイスできる。
今回の記事で紹介されていた取り組みは、こういった業種ごとの「現場特有の複雑さ」に対応しているところが面白いと思った。汎用のERPではなく、業種に特化しているから現場のフローに合わせて設計されている。一般的なシステムを無理やり当てはめようとして失敗する、あのパターンを避けられる可能性がある。
ただ、私が気になるのはコスト面だ。中小企業のDX支援というコンセプトならば、顧問先が実際に導入できる価格帯かどうかが一番の問題になる。従業員20人以下の会社に月額数十万のシステムを勧めても意味がない。その点はまだ情報が少なくて、判断できていない。
社労士として顧問先に何かを勧めるとき、私は「これで助成金が使えるか」を必ず確認する習慣がある。IT導入補助金やキャリアアップ助成金との組み合わせで初期費用を抑えられるなら、話の持ち出し方が変わってくる。今のタイミングで動けば補助率が高い制度もまだ残っているので、そこと連動できるかどうかを来月の顧問先訪問で確認してみるつもりだ。
「現場のあたりまえを変える」というのは、実は簡単なことじゃない。長年のやり方を変えることへの抵抗は、経営者よりも現場の人のほうが強いことが多い。システムを入れても使われなければ意味がない。その「定着」の部分を誰が支援するかが、DXが成功するかどうかの分かれ目だと私は思っている。