ChatGPT Atlasは営業DXの「稟議」を変えるか

石井 雅之
石井 雅之 50代・ 大手製造業・部長
先週、あるベンダーからの提案資料にChatGPT Atlasという名前が出てきた。正直、最初は「また新しいツールか」と思った。でも少し調べてみたら、これは単なるAIチャットツールの話ではないと気づいた。

ブラウザ×AIが「コンテキストを持つ」という意味



ChatGPT Atlasは、OpenAIが提供するAI搭載ブラウザだ。大きな特徴は2つある。ひとつは、ChatGPTのサイドバーがブラウザに統合されていること。もうひとつは、エージェントモードが組み込まれていること。エージェントモードは、ユーザーに代わってタスクを実行してくれる機能だ。

技術的な核心は、OWL(OpenAI's Web Layer)と呼ばれるアーキテクチャにある。ブラウザとLLM(大規模言語モデル)を連携させる仕組みで、「今開いているタブの内容」をAIが把握した上で回答を生成する。つまり、ChatGPTに別タブで質問するのとは根本的に違う。閲覧中のページのコンテキストをリアルタイムで読んでいる。

これを営業現場に置き換えると、どういうことか。たとえば部下が商談先のウェブサイトを見ながら、「この会社への提案書のたたき台を作って」とサイドバーに入力する。Atlasは開いているページを読んだ上で、過去の会話履歴なども参照しながら回答を出してくれる。従来のようにコピペして貼り付けて質問する手間が消える。

経営陣への説明で使えるポイントと、正直な懸念



私が今一番気になっているのは、これを社内でどう位置づけるかだ。営業DX推進という立場から言うと、「速い・便利」というだけでは稟議は通らない。「何が変わるのか」「何が不要になるのか」を数字で示せないと、経営陣の承認は取りにくい。

Atlasの評価として挙げられている優れた点は、購買ジャーニーをはるかに迅速に進められるという点だ。双方向で会話しながら情報を絞り込めるため、調査工数が減る。これは営業の情報収集フェーズに直接刺さる話だと思う。

ただし、正直に言えば懸念も残る。データセキュリティとプライバシーの問題だ。現時点では、ブラウザのタブ内容をモデルに読ませるかどうかはオンオフ切り替えられるとのことだが、社内の機密資料や顧客情報を含むページを開いた状態で使う場面を想定すると、情報システム部門との調整なしには動けない。うちの会社の情報セキュリティポリシー上、どこまで許容されるかはまだ不明だ。

それともう一点。Atlasはまだ開発段階で問題が生じることもあると明示されている。正式なツールとして部下25人に展開するには、まだ時期尚早かもしれない。ベンダー提案をそのまま採用するのではなく、自分でパイロット検証する必要がある。

次に何をするか



来週、まずAtlasを自分のPCに入れて、営業資料の調査フローを1つだけ試してみるつもりだ。部下に展開する前に、自分が実際に使って「これは情シスに何を確認すればいいか」を具体的に洗い出したい。稟議書に書く「リスクと対策」の欄は、使ってみないと書けないからだ。

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