「全員に好かれなくていい」はデザイナーにも刺さる話だった

林 美里
林 美里 30代・ フリーランスデザイナー
LIFULLのマーケターが「全員に好かれなくていい」と気づいてから仕事が回りはじめた、という記事を読んだ。マーケターの話なのに、なぜか自分のこととして読んでしまった。

私はフリーランスのデザイナーで、独立して5年になる。ロゴやブランディング、Web制作が主な仕事だ。クライアントの期待に全力で応えようとしてきたし、それが「プロとしての誠実さ」だと思っていた。でも最近、そのやり方が少しずつ自分を消耗させている気がしていた。

「好かれようとする」と判断がぶれる



その記事で紹介されていたのは、LIFULLのマーケターが実践する「組織とマーケティングに効く4つのルール」だ。得意なはずの対人関係で挫折し、「全員に好かれなくていい」という考え方にたどり着いた話だった。マーケティングの話ではあるけれど、読みながら「これ、AIツールを使うときの自分と同じだ」と気づいた。

MidjourneyやAdobe Fireflyを業務に取り入れて2年ほどになる。使わないと競合に負ける、という焦りは今も正直ある。でも「全部任せると自分が消える」という感覚も、ずっとついて回っている。クライアントがAI生成のビジュアルを喜ぶたびに、「これって私の仕事なのか?」と思う瞬間がある。

そこで起きていることは、記事の話と根っこが同じだと思う。クライアント全員に好かれようとするから、AIが出してきたものをそのまま渡すべきかどうか、毎回判断がぶれる。「これで喜んでもらえるなら別にいいか」と自分の基準を曲げそうになる。

「これが私の仕事です」と言える領域を決める



その記事を読んで思ったのは、「全員に好かれなくていい」は「手を抜いていい」という話じゃないということだ。自分の軸を持って動くための話だ。

私がAIツールについて今感じているジレンマも、軸がないから生まれているのかもしれない。AIを使うこと自体は問題じゃない。問題は「どこに自分の判断を入れるか」を決めていないことだ。

最近、自分なりにルールを整理してみた。

  • AI生成は「素材」として使う。そのまま納品しない
  • 配色・余白・タイポグラフィの最終判断は必ず自分でやる
  • 「なぜこのビジュアルにしたか」を言語化できないものは出さない


シンプルなルールだけど、これを決めてから「自分が消える」感覚が少し薄れた。クライアントに全部好かれなくていい、と思えるようになってきた気もする。

AIエージェントを導入して作業時間を33%短縮した子ども服ブランドの事例も、最近よく目にする。成果は出ている。でも「短縮した時間で何をするか」が決まっていなければ、ただ仕事が空洞化するだけだと思う。

自分にとって「短縮した時間」は、クライアントと深く話す時間に使いたい。ツールに任せていい部分と、絶対に任せない部分を、もう少し明確に言葉にしてみるつもりだ。

無料相談受付中

AI開発・DX推進についてお気軽にご相談ください。オンライン30分から。

無料相談を申し込む