三菱UFJ銀行やパナソニックコネクトが生成AIで業務変革を進めているという記事を読んだ。DXの「加速エンジン」として生成AIを位置づけるという話だった。正直、最初は「大企業の話か」とスクロールしかけた。でも途中で手が止まった。
「位置づけが曖昧なまま個別ツールを配るだけでは、ただのChatGPT導入になる」という一節だ。これ、フリーランスの自分にも刺さる話だった。Midjourneyを使い始めたのは独立3年目の頃で、当時は「競合に負ける前に慣れなきゃ」という焦りが先に来た。Adobe Fireflyも触り始めて、気づいたら複数のAIツールをなんとなく手元に置いている状態になっていた。位置づけ、たしかに考えたことがなかった。
クライアントから「ロゴのラフをたくさん見せてほしい」と言われるとき、以前は頭の中でスケッチしてから描き起こしていた。今はMidjourneyに方向性を何パターか投げて、出てきた画像を見ながら「ちがう、でもこの質感は近い」と自分の感覚を確かめる使い方になっている。ツールというより、壁打ち相手に近い。
ただ、怖さもある。先月、小さなカフェのブランディングを担当した。オーナーの「地元に根ざした、少し懐かしい感じ」という言葉から、活版印刷のテクスチャを手作業で取り込んでロゴに仕上げた。AIには出せない質感だったと思っている。でも、もし別のデザイナーが全行程をAIで作ったものを半額で出してきたら、自分はどう説明するだろう。価格交渉の場でこの「手仕事の価値」をどこまで言語化できるか、まだ迷っている。
パートナーに一度だけ話したことがある。「AIに頼りすぎると、自分のデザインじゃなくなる気がする」と言ったら、「でも写真家がカメラを使うのと同じじゃないの?」と返ってきた。しばらく黙った。反論できなかったし、完全に納得もできなかった。
参考記事には「非定型業務まで自動化できる」という話があった。ブランドのトーン設計やコンセプト言語化まで生成AIが担うようになるとしたら、デザイナーに残る仕事は何だろう。今の自分のやり方を振り返ると、こんな感じに分かれている気がする。
「迷っている」が思ったより多かった。書き出してみて少し驚いた。
大企業がDXロードマップに生成AIを組み込む話と、フリーランスがMidjourneyをどう使うかは、スケールが違う。でも「位置づけが曖昧なまま使い続けるとどこかでしんどくなる」という構造は同じだと感じる。
独立5年で少しずつ見えてきたのは、クライアントが本当に買っているのは「完成品」だけじゃないということだ。「この人に頼むと、自分では言葉にできなかったものが形になる」という体験にお金を払っている。そこはAIが一人称で担えない領域だと、今のところ信じている。ただ、それも5年後にどうなるかはわからない。
今週、美術館で見た活版印刷の特集展示が頭に残っている。職人が一文字ずつ版を組む映像を見て、「非効率だけどそれが美しい」と感じた自分がいた。その感覚を仕事の中でどう生かすか。それがたぶん、自分がこれから考え続けることだ。
「位置づけが曖昧なまま個別ツールを配るだけでは、ただのChatGPT導入になる」という一節だ。これ、フリーランスの自分にも刺さる話だった。Midjourneyを使い始めたのは独立3年目の頃で、当時は「競合に負ける前に慣れなきゃ」という焦りが先に来た。Adobe Fireflyも触り始めて、気づいたら複数のAIツールをなんとなく手元に置いている状態になっていた。位置づけ、たしかに考えたことがなかった。
「使わないと負ける」という焦りだけで動いていた
クライアントから「ロゴのラフをたくさん見せてほしい」と言われるとき、以前は頭の中でスケッチしてから描き起こしていた。今はMidjourneyに方向性を何パターか投げて、出てきた画像を見ながら「ちがう、でもこの質感は近い」と自分の感覚を確かめる使い方になっている。ツールというより、壁打ち相手に近い。
ただ、怖さもある。先月、小さなカフェのブランディングを担当した。オーナーの「地元に根ざした、少し懐かしい感じ」という言葉から、活版印刷のテクスチャを手作業で取り込んでロゴに仕上げた。AIには出せない質感だったと思っている。でも、もし別のデザイナーが全行程をAIで作ったものを半額で出してきたら、自分はどう説明するだろう。価格交渉の場でこの「手仕事の価値」をどこまで言語化できるか、まだ迷っている。
「全部任せると自分が消える」という感覚の正体
パートナーに一度だけ話したことがある。「AIに頼りすぎると、自分のデザインじゃなくなる気がする」と言ったら、「でも写真家がカメラを使うのと同じじゃないの?」と返ってきた。しばらく黙った。反論できなかったし、完全に納得もできなかった。
参考記事には「非定型業務まで自動化できる」という話があった。ブランドのトーン設計やコンセプト言語化まで生成AIが担うようになるとしたら、デザイナーに残る仕事は何だろう。今の自分のやり方を振り返ると、こんな感じに分かれている気がする。
- AIに任せる: バリエーション展開、配色の仮案、アイコンのラフ出し
- 自分が持つ: クライアントのヒアリング、コンセプト言語化、手仕事のテクスチャ制作
- まだ迷っている: キービジュアルの方向性決定、フォント選定の根拠説明
「迷っている」が思ったより多かった。書き出してみて少し驚いた。
ツールの「位置づけ」を自分なりに持つこと
大企業がDXロードマップに生成AIを組み込む話と、フリーランスがMidjourneyをどう使うかは、スケールが違う。でも「位置づけが曖昧なまま使い続けるとどこかでしんどくなる」という構造は同じだと感じる。
独立5年で少しずつ見えてきたのは、クライアントが本当に買っているのは「完成品」だけじゃないということだ。「この人に頼むと、自分では言葉にできなかったものが形になる」という体験にお金を払っている。そこはAIが一人称で担えない領域だと、今のところ信じている。ただ、それも5年後にどうなるかはわからない。
今週、美術館で見た活版印刷の特集展示が頭に残っている。職人が一文字ずつ版を組む映像を見て、「非効率だけどそれが美しい」と感じた自分がいた。その感覚を仕事の中でどう生かすか。それがたぶん、自分がこれから考え続けることだ。