先週、AINOWの記事で「生成AIベンダーの選定で失敗しない7つの評価ポイント」というまとめを読みました。ベンダーを「受託開発型」「AIコンサルティング型」「パッケージ・ツール提供型」「オーダーメイド型」「業界特化型」の5タイプに分類していて、これが思いのほか整理されていました。自分がこれまでなんとなく頭の中でやっていたことが、ちゃんと言語化されている感じです。
うちの部門では、この1年で生成AI関連のベンダー提案を受けた回数が10回を超えました。営業支援ツール、議事録自動化、提案書ドラフト生成など、分野もバラバラです。そのたびに情報システム部門と調整して、法務にもセキュリティ要件の確認を依頼して、という流れで稟議を組み立てるわけですが、正直なところ「このベンダーで本当によいのか」という判断の軸が自分の中でも揺れていました。
PoCが終点になっていた反省
記事の中で「PoCから運用・改善までの支援範囲」という評価ポイントが出てきます。これを読んで、去年の痛い経験を思い出しました。ある営業プロセス自動化のツールで3ヶ月のPoC契約を結び、部下5名に試験運用をさせました。結果は「使い勝手はまあまあ」という微妙な評価で終了。その後の本格導入フェーズについてベンダーに相談したら、「別途カスタマイズ費用が発生します」と言われて話が止まりました。結局、経営陣への投資対効果の説明ができないまま、そのツールはフェードアウトしています。
今考えると、最初のベンダー評価の時点でPoC以降の支援体制をちゃんと確認していなかったのが原因です。ベンダー側は「まずPoC」と言いたがりますが、こちらはPoC後に社内稟議を通せる絵が見えなければ意味がない。その視点を最初から評価基準に入れておくべきでした。
稟議書に落とし込むための評価軸
記事で挙げられていた7つの評価ポイントのうち、私が特に稟議書に直接使えると感じたのは次の3点です。
- 自社業界・課題に近い導入実績があるか
- 知識移転と内製化への対応方針が明示されているか
- セキュリティ・コンプライアンス要件への対応実績
うちは製造業なので、「小売向けに導入実績多数」というベンダーを持ってこられても、経営陣の納得感が違います。業界特有の商習慣や規制対応が絡む場面では、類似業界での実績は説得材料として相当重いです。また、知識移転の話は中長期のコスト試算に直結するので、ランニングコスト算出の根拠として稟議書に書きやすい。
セキュリティ要件については、うちの情報システム部門が年々チェック項目を増やしていて、今年度からはISMS認証の取得状況と、データの国内保管可否が必須確認事項になりました。これをベンダー提案書に明記してもらうよう、最初の打ち合わせで要求するようにしています。
部下への落とし込みを考える
評価軸が整理できたとして、次の問題は部下25名にどこまで共有するかです。全員がベンダー選定に関わるわけではありませんが、現場で実際にツールを使う担当者の意見は評価プロセスに入れないと、後で「使いにくい」「結局使わなくなった」という声が出ます。去年のPoC失敗もそこが一因でした。
今考えているのは、ベンダー評価の際に現場担当を2〜3名「評価メンバー」として正式に巻き込むことです。評価シートを渡して、業務上の使い勝手を点数化してもらう。その結果を稟議書の別紙として添付すれば、経営陣への説明でも「現場の声を反映した選定」という説得力が生まれます。
妻に「また難しそうな顔して読んでるね」と言われましたが、これは難しいというより、やっと整理できてきた、という顔だったと思います。ベンダー選定は最初の1枚目の稟議で方向が決まります。次のRFP(提案依頼書)を出す前に、この評価軸を部門の標準フォーマットとして文書化しておくつもりです。