契約管理AIを稟議に通すとき、私が準備する3つの根拠

石井 雅之
石井 雅之 50代・ 大手製造業・部長
LayerXが今夏リリース予定の「バクラク契約管理」のニュースを読んで、正直すぐに稟議のシミュレーションが頭の中で始まった。

AIエージェントが契約書の作成・レビュー・相手方との交渉・管理まで一貫して支援するというサービスだ。しかも2027年4月以降に大企業へ適用される新リース会計基準の判定項目の抽出まで、AIが自動でやってくれるという。

こういうニュースを見たとき、私の脳みその半分は「これは使えるかもしれない」と思い、もう半分は「経営陣にどう説明するか」に切り替わる。15年以上この仕事をやってきて、もうそれが条件反射になってしまっている。

「便利そう」は稟議を通らない



部下が新しいSaaSを持ってきたとき、よく「これ便利そうです」という言い方をする。気持ちはわかる。でも経営陣の前でその言葉を使った瞬間に、議論が終わる。

稟議を通すために私が必ず準備するのは、「今どんなコストが発生しているか」「それがどう変わるか」「リスクはどこにあるか」の3点だ。感情論ではなく数字と構造で話す。これは製造業の経営陣相手には特に有効だと感じている。

今回のバクラク契約管理で言えば、まず「契約業務に何人が何時間使っているか」から整理する必要がある。うちの部門だけでも、契約書のレビューに法務担当が絡む案件は月に何十件もある。担当者の工数を可視化すれば、投資対効果の話ができる。

新リース会計基準の対応コストは、今から見積もるべき



もう一つ、このサービスで私が注目したのは2027年4月以降の新リース会計基準への対応だ。これは「将来の話」ではなく「今から準備しないと間に合わない話」だ。

新基準では、従来オフバランスだったオペレーティングリースも原則オンバランス化される。自社の契約書の中にリース性のある取引がどれだけ含まれているか、今すぐ把握できている会社はほとんどない。AIが契約書の中から判定に必要な情報を自動で抽出してくれるなら、その工数削減効果は相当大きい。

この観点で稟議を組み立てると、「AIツールの導入費用」ではなく「会計基準対応のコスト管理」という文脈になる。経営陣にとっては後者のほうがずっと刺さりやすい。

同サービスはバクラクの他シリーズとのデータ連携も前提にしている。請求書や経費精算との一元化でデータの重複入力を減らす設計だという。うちはすでにいくつかのバックオフィス系SaaSを入れているが、システム間のデータの分散は常に課題だ。連携の深さは選定時に必ず確認したいポイントになる。

セキュリティ要件については、情報システム部門との連携が必須だ。契約書には価格情報や取引先の個人情報が含まれる。社内のデータ管理ポリシーに合致するかどうか、ベンダーから仕様書を取り寄せて確認するのが先決だ。

来週、法務と情シスの担当者を捕まえて、現状の契約業務の工数と2027年対応の準備状況を確認してみるつもりだ。稟議を書く前に、まず内部の数字を揃えるところから始める。

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