先日、顧問先の飲食店を経営している渡辺社長から連絡がありました。「佐藤先生、採用とか勤怠とか請求書とか、全部ひとつのシステムでできるやつって使えますか?」という相談です。
NoahWorksというモジュール型SaaSが本格始動したというリリースを読んで、気になって連絡してきたとのことでした。採用・勤怠・決済・AI分析までバックオフィス業務を一元管理できるというコンセプトで、中小企業向けに設計されているそうです。渡辺社長は都内で3店舗を展開していて、スタッフが合計で30名ほどいます。シフト管理だけでも毎月ひと苦労、と前から聞いていました。
「一元化」の話が来るたびに考えること
正直に言うと、こういう「全部まとめました」系のSaaSの相談は月に1〜2回は来ます。顧問先がどこかのウェビナーで見てきたとか、SNSで流れてきたとかで、「先生、これどう思いますか?」と。私の答えはいつも同じ流れで始まります。まず「今、何が一番しんどいんですか?」と聞くことです。
渡辺社長の場合、本当に困っているのは採用コストではなくてシフトの穴埋めと、売上データが各店舗でバラバラで全体の利益がぱっと見えないこと、でした。AI分析で売上傾向を把握できるという機能は、その意味ではかなり刺さりそうな話でした。freeeで帳簿は整理していますが、店舗別のリアルタイム分析は弱い部分があります。
ただ、モジュール型というのがポイントです。必要な機能だけ選んで使える設計になっているようで、全部いっきに入れなくてもいい。これは中小企業にとって現実的な入り方だと私は見ています。一括で全機能を導入して使いこなせず、半年で解約、というパターンを何度も見てきたので。
建設業の中村社長にも同じ話が使えるかもしれない
渡辺社長と話しながら、もう一人の顧問先が頭をよぎりました。建設業を営む中村社長で、従業員が18名の会社です。現場ごとの原価管理が雑になりやすく、請求書の発行もまだExcelでやっている部分があります。インボイス対応でバタバタした際に、「全部まとめたい」と言っていたのを思い出しました。
バックオフィスの一元化というのは、規模が小さいほど担当者が兼務していることが多いので、実は恩恵が大きい話です。総務も経理も採用も、全部社長か奥さんがやっている、というのが15社を見ていてもよくある状況です。そこに決済や雇用管理まで入ってくると、ひとつの画面で確認できるだけでかなり違う。
私がいつも気にするのは、会計ソフトとどう連携するかです。freeeやマネーフォワードとのAPI連携がどこまで整っているかによって、私の仕事のしやすさも変わります。渡辺社長の月次レポートを作るとき、連携がうまくいっていないシステムが挟まると、データのつなぎ直しに余計な時間がかかります。NoahWorksについてはその部分をもう少し調べてから、具体的な話を持ち帰ろうと思っています。
顧問先に持ち帰る前に確認しておくこと
渡辺社長には「一週間ください」と伝えました。私が確認しておきたいのは、こんなことです。
- freee・マネーフォワードとのAPI連携の有無と範囲
- モジュールごとの価格体系(スタッフ30名規模でどのくらいかかるか)
- サポート体制(導入後にどこに聞けるか)
システム導入の相談は、税務の話とは別の種類の信頼が問われます。「先生が勧めたから入れたのに」となったとき、その責任はかなり重い。だから軽率に「いいと思いますよ」とは言わないようにしています。
こういう相談が来るたびに、自分が情報を持っておくことの価値を感じます。次の顧問先との面談までに、NoahWorksの料金ページと連携仕様をきちんと読んでおくつもりです。