先日、RICOHが「RICOH Value Presentation 2026 in 滋賀」というイベントを開催するというプレスリリースを見た。生成AI・DX・GXの最新動向を一堂に、セキュリティ対策と業務改革を支援する、という内容だ。
正直に言う。読んだ瞬間の感想は「で、数字は?」だった。
展示会形式でトレンドを並べるのはわかる。ただ私が日々向き合っているのは、Meta広告のCPAが昨対比でどう動いたか、TikTok広告のROASが目標値に届いているかどうか、そういう話だ。生成AI活用の「可能性」を語るイベントより、実測値を一個出してくれる記事の方がよっぽど刺さる。
ChatGPTで広告文を量産してCVRはどう変わったか
私自身は半年以上、ChatGPTを広告コピーの下書き生成に使っている。具体的にやっていることを書く。まず商材の訴求軸・ターゲット像・禁止表現をまとめてプロンプトに渡す。そこから20〜30パターンの見出し候補を出してもらって、自分でトンマナを整えてからMeta広告に流す。
結果として何が変わったか。A/Bテストのサイクルが明らかに速くなった。以前は1週間に4〜5パターンが限界だったのが、今は週10パターン以上を回せる。CVRの改善幅は案件によってまちまちだが、ある食品EC案件ではクリエイティブの差し替えサイクルを早めたことで、3ヶ月間でCPAが約18%改善した。AIのおかげか、テストの頻度を上げた効果かは正直切り分けにくい。ただ「量を出してテストする」という動き方がしやすくなったのは確かだ。
TikTok広告は少し勝手が違う。フック部分のスクリプト生成にChatGPTを使うが、TikTokのアルゴリズムは再生完了率とインタラクション率に敏感に反応する。コピーの巧拙より、映像の最初の2秒で視聴者を止められるかどうかが全てと言っていい。AIが生成したスクリプトをそのまま使ってもROASが出るかどうかは別の話だ。だからここではAIは「草案を出す補助」にとどめて、最終判断は自分でやっている。
生成AI活用を「業務改善」で語るのが少し違和感な理由
RICOHのイベントに限らず、生成AIを扱う記事や展示会は「業務改革」とか「生産性向上」という文脈で語られることが多い。それはそれで正しい。ただマーケターとして使う場合、評価軸が少し違うと感じている。
私が見ているのはこのあたりだ。
- 広告文生成にかかる工数が週何時間削減されたか
- テストパターン数が増えた結果、CPAが動いたかどうか
- コンテンツSEOの下書き生成を使い、記事の公開本数が変わったか
「業務が楽になった」という定性的な感想より、数字で出せるかどうかが判断基準だ。実際、コンテンツSEOの下書き生成に関しては効果測定がしにくい。記事を公開してからオーガニック流入が育つまでに3〜6ヶ月かかる。GAを見ても、AIで書いたかどうかと検索順位の相関は今のところ私には判断できていない。
その点、広告文生成はレポートサイクルが早いから評価しやすい。CPAとROASが週次で見えるので、「使う意味があるかどうか」をすぐ判断できる。今のところ答えは「補助として使うなら費用対効果は出る」だ。
冒頭のRICOHイベントに話を戻す。展示会で生成AIのデモを見るより、自分の手元の数字を一本出す方が、次の判断材料になる。滋賀まで行く時間があるなら、今週のA/Bテストの結果を一本深掘りする。それが私の現時点のスタンスだ。
あなたの職場では、生成AIの効果をどうやって測っているだろうか。「なんとなく楽になった」以上の答えを持っている人と、一度話してみたい。