先週末、息子がリビングで小さな端末を触っていました。聞くと「AYANEO Pocket S Mini」というAndroid搭載の携帯ゲーム機だそうで、友人から借りて試しているとのこと。8GB/128GBモデルで8万3800円、12GB/256GBモデルで9万2800円という価格帯です。
SoCにはSnapdragon G3x Gen 2を搭載していて、AnTuTuのベンチマークスコアは144,464。Gigazineのレビューによれば、ミドルレンジスマートフォンより少し低いくらいの性能水準とのことでした。フォートナイトをプレイしていると、接敵した瞬間に画面がカクつく場面も見られたようです。対人ゲームでは致命的な挙動ですね。
息子の話を聞きながら、私は別のことを考えていました。「この製品、経営陣に説明しろと言われたらどう説明するか」と。職業病みたいなものですが、どうしてもその視点で物を見てしまいます。
今の私の部門では、営業DX関連のツール導入を年に3〜4本は稟議にかけています。ベンダーから提案を受けるたびに感じるのは、「スペックや機能の豊富さ」と「実務で使えるかどうか」がまったく別物だという点です。
AYANEO Pocket S Miniの話に戻ると、NTEというアクションゲームは滑らかに動いているのに、フォートナイトでは対人戦でカクつく。用途によって「合格」と「不合格」が分かれるわけです。スペックシートだけを読んでいると、この差は見えません。
これはそのまま、社内でのツール導入審査に当てはまります。ベンダーがデモを見せてくれるとき、たいていシングルプレイ相当の「最適化された環境」でしか動かしてくれません。実際の現場、つまり同時接続50人・既存システムとのAPI連携・社内セキュリティポリシーへの適合、そういう条件を重ねると初めてボロが出る。以前、ある営業支援ツールの検証で、デモ環境では快適だったものが本番環境で応答が遅延するという事態を経験しました。そのときの稟議差し戻しは今でも記憶に残っています。
Gigazineのレビューで印象的だったのは、赤外線カメラで実際の発熱を測定していた点です。アナログスティック周辺は36度、指が触れる部分は34.5度。体温より低い数値ですが、長時間握り続けると手がじわじわ熱くなってくると書いてありました。スペック表に「発熱少なめ」と書いてあっても、こういう実感は数字には出ない。
部下に新しいツールを使わせてみてフィードバックをもらうとき、私がいつも意識しているのもそこです。「操作が重い」「画面の切り替えが多い」「入力項目が細かすぎる」といった感想は、実際に業務で触ってみないと絶対に出てきません。25人いる部下のうち、フィールドで使う人間と内勤で使う人間では、同じツールでもまったく違う評価が返ってきます。
投資対効果を経営陣に説明するには、こうした「実環境での検証データ」が不可欠です。導入前の段階でどれだけ現場の声を拾えているかが、稟議の説得力に直結します。承認される稟議と差し戻される稟議の差は、ほとんどここにあると感じています。
4.2インチ・解像度1280×960のディスプレイは、対人ゲームには向かないがシングルプレイには十分、というのがレビューの結論でした。使途を絞れば十分に機能する。この考え方は、ツール選定でも同じです。
何でもできると謳うツールを「とりあえず導入」しても、現場では結局使われなくなります。私の部門でも、以前に全社展開した某CRMが活用率30%台で止まり、経営陣から厳しい指摘を受けた経緯があります。あのときの反省が、今の選定プロセスの土台になっています。
「このツールで何をやめて、何を自動化して、誰の時間を何時間削減するか」。この問いに答えられない状態で稟議を出すのは、画面サイズを確認せずにゲーム機を買うようなものです。
息子はその後、フォートナイトは諦めてNTEに切り替えていました。用途に合わせて使い方を変えた、ということです。それは正しい判断だと思いました。あなたの会社のDXツールは、今どんな用途に使われているでしょうか。
SoCにはSnapdragon G3x Gen 2を搭載していて、AnTuTuのベンチマークスコアは144,464。Gigazineのレビューによれば、ミドルレンジスマートフォンより少し低いくらいの性能水準とのことでした。フォートナイトをプレイしていると、接敵した瞬間に画面がカクつく場面も見られたようです。対人ゲームでは致命的な挙動ですね。
息子の話を聞きながら、私は別のことを考えていました。「この製品、経営陣に説明しろと言われたらどう説明するか」と。職業病みたいなものですが、どうしてもその視点で物を見てしまいます。
「スペックの高さ」と「用途の適合性」は別の話
今の私の部門では、営業DX関連のツール導入を年に3〜4本は稟議にかけています。ベンダーから提案を受けるたびに感じるのは、「スペックや機能の豊富さ」と「実務で使えるかどうか」がまったく別物だという点です。
AYANEO Pocket S Miniの話に戻ると、NTEというアクションゲームは滑らかに動いているのに、フォートナイトでは対人戦でカクつく。用途によって「合格」と「不合格」が分かれるわけです。スペックシートだけを読んでいると、この差は見えません。
これはそのまま、社内でのツール導入審査に当てはまります。ベンダーがデモを見せてくれるとき、たいていシングルプレイ相当の「最適化された環境」でしか動かしてくれません。実際の現場、つまり同時接続50人・既存システムとのAPI連携・社内セキュリティポリシーへの適合、そういう条件を重ねると初めてボロが出る。以前、ある営業支援ツールの検証で、デモ環境では快適だったものが本番環境で応答が遅延するという事態を経験しました。そのときの稟議差し戻しは今でも記憶に残っています。
「実機で試す」というプロセスの価値
Gigazineのレビューで印象的だったのは、赤外線カメラで実際の発熱を測定していた点です。アナログスティック周辺は36度、指が触れる部分は34.5度。体温より低い数値ですが、長時間握り続けると手がじわじわ熱くなってくると書いてありました。スペック表に「発熱少なめ」と書いてあっても、こういう実感は数字には出ない。
部下に新しいツールを使わせてみてフィードバックをもらうとき、私がいつも意識しているのもそこです。「操作が重い」「画面の切り替えが多い」「入力項目が細かすぎる」といった感想は、実際に業務で触ってみないと絶対に出てきません。25人いる部下のうち、フィールドで使う人間と内勤で使う人間では、同じツールでもまったく違う評価が返ってきます。
投資対効果を経営陣に説明するには、こうした「実環境での検証データ」が不可欠です。導入前の段階でどれだけ現場の声を拾えているかが、稟議の説得力に直結します。承認される稟議と差し戻される稟議の差は、ほとんどここにあると感じています。
「何に使うか」を最初に決める
4.2インチ・解像度1280×960のディスプレイは、対人ゲームには向かないがシングルプレイには十分、というのがレビューの結論でした。使途を絞れば十分に機能する。この考え方は、ツール選定でも同じです。
何でもできると謳うツールを「とりあえず導入」しても、現場では結局使われなくなります。私の部門でも、以前に全社展開した某CRMが活用率30%台で止まり、経営陣から厳しい指摘を受けた経緯があります。あのときの反省が、今の選定プロセスの土台になっています。
「このツールで何をやめて、何を自動化して、誰の時間を何時間削減するか」。この問いに答えられない状態で稟議を出すのは、画面サイズを確認せずにゲーム機を買うようなものです。
息子はその後、フォートナイトは諦めてNTEに切り替えていました。用途に合わせて使い方を変えた、ということです。それは正しい判断だと思いました。あなたの会社のDXツールは、今どんな用途に使われているでしょうか。