稟議を通すために「生成AI導入計画書」を本気で書いてみた話

石井 雅之
石井 雅之 50代・ 大手製造業・部長
先日、部内の若手から「部長、生成AIの導入計画書って何を書けばいいんですか?」と聞かれた。正直、自分もよくわかっていなかった。

予算は確保できそうなのに、いざ稟議書を書こうとすると手が止まる。あの感覚、同じ立場の人なら絶対わかると思う。

「9項目」という構造があるだけで、全然違う



ある記事を読んで、かなり整理された。生成AI導入計画書に必要な項目は9つで、件名と決裁区分、背景と現状の課題、目的・ゴール・KPI、導入サービスとユースケース、推進体制と役割分担、スケジュールとマイルストーン、費用と投資計画、ROI試算と回収期間、リスクと対策・撤退基準、という構成だ。

「撤退基準」まで書けというのは、最初は意外だった。でも経営層から見ると、撤退基準のない計画書は「失敗したときに誰が責任を取るのかわからない」と映る。確かにそうだ、と腑に落ちた。

自分が今まで書いてきた提案書って、ROIは書いていても撤退基準は一切なかった。改めて考えると、経営陣が「ちょっと待ってくれ」と言いたくなるのも無理はない。

経営層を動かすのは「5つの数字」だった



記事の中で特に刺さったのが、経営層を動かすための数字の出し方だ。業務時間削減率(%)、年間コスト削減額(円)、投資回収期間(月)、競合導入率(%)、リスクコストの5つを揃えると、1回の会議で稟議が通る方向に動くという話。

ROIの計算式は「工数×単価×対象者数」で削減額を出すというシンプルなもの。自分の部門で試算してみたら、営業資料の作成時間を週2時間削減できるとして、25名×2時間×52週×3,500円で約910万円。これが年間コスト削減の根拠になる。

今まで「生産性が上がります」という抽象的な言い方をしていたのが、ここまで具体化できるとわかった瞬間に、少し気持ちが楽になった。

計画書の完成度が低いまま出してしまうと、差し戻しが続いて本格導入が3ヶ月以上遅延するとも書いてあった。これは本当にリアルな話で、昨年のシステム更新のときにまさにそれで半年近く引っ張られた記憶がある。

計画書は「自分が通すための地図」だと思うようにした



提案書や稟議書と計画書は違う、という整理も納得感があった。計画書は経営層に「これで進めていいか」と承認してもらうための文書であり、実行フェーズの地図でもある。承認後に「話が違う」とならないためにも、スケジュールとマイルストーン、推進体制まで含めて書いておく必要がある。

自分の部門では、推進担当をアサインする前に予算承認を取りに行くという順番のミスを何度かやっていた。誰が動かすのかが決まっていない計画書は、経営層から見ると「本気度が低い」と思われる。これも反省点だ。

来週の部内ミーティングで、まずユースケースの絞り込みからやってみるつもりだ。営業報告書の自動生成と、提案書の初稿作成補助の2つに絞って、そこだけ工数削減率と試算数字を出す。全部門に展開するよりも、一点突破で計画書をまとめた方が、審査する側も判断しやすいはずだと思っている。

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