社内の「聞けばわかる人」がいなくなる前にやること

木村 俊介
木村 俊介 30代・ スタートアップ創業者
先週、投資家との面談でこんな質問を受けた。「チームが10人超えたとき、今の情報共有の仕組みで本当に回りますか?」

ちょっと刺さった。

今は8人だから、まだ何とかなっている。でも確かに、「それ〇〇さんに聞いて」で済んでいる場面が毎週ある。その〇〇さんが抜けたら、と想像するとちょっと怖い。

「ナレッジ共有ツール入れました」で終わりにしていないか



ConfluenceもNotionも使っている会社はたくさんある。でも正直なところ、「更新されていないドキュメントが増えていくだけ」になっているケースが多い。うちも他人事じゃない。

先日読んだ記事で、ある数字が出てきた。生成AIを使った社内ナレッジ活用に成功した企業が、カスタマーサポートで98%の正答率を出し、年間44.8万時間の削減を実現したという。

44.8万時間。スタートアップ規模で考えると想像しにくいが、要は「人が何かを探す・聞く・調べる」という時間がそれだけあったということだ。これが自動化されれば、その分だけ攻めに使える。

RAGという仕組みが何をしてくれるのか



RAG(Retrieval-Augmented Generation)という技術がある。簡単に言うと、社内のドキュメントをAIに読み込ませておいて、「あの件どうなってたっけ」という質問に自然な言葉で答えてくれる仕組みだ。

キーワード検索とは違う。「先月クライアントに提示した料金体系ってどうだったっけ」みたいな曖昧な質問にも、意味を理解して関連情報を引っ張ってくる。

これが採用・セールス・資金調達にどう効くか、という話をしたい。

採用で言えば、「うちの会社の文化ってどう説明すればいい?」「このポジションに求めるスキルってどこかにまとまってる?」という候補者対応や社内すり合わせの時間が減る。セールスなら、「競合との比較表ってどこにある?」「過去に似た案件でどういう提案したっけ?」がすぐ出てくる。資金調達のデューデリ対応なら、投資家からの質問に対してリサーチ・確認・回答の往復が圧縮できる。

「属人化」という言葉を使うと大企業っぽく聞こえるが、うちみたいなスタートアップこそ一人一人の情報量の偏りが致命的になる。誰かが抜けた瞬間に業務が止まるリスクは、10人以下の会社のほうが断然高い。

投資家にこの話をしたら、「スケーラビリティの担保」と言ってもらえた。採用候補者に見せる会社の成熟度、という文脈でも使える話だと思う。

自分が今週やろうとしているのは、社内のドキュメントがどこに何件あって、実際に参照されているのかを一度棚卸しすることだ。ツールの話より先に、「何を学習させるか」を整理しないと始まらない。まずそこから動いてみる。

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