法務×生成AI、マーケ視点で読んでみた

高橋 沙織
高橋 沙織 20代・ デジタルマーケター
AINOWで法務×生成AIの記事を読んだ。正直、最初は「自分には関係ないな」と思って流し読みしようとした。でも読み進めると、日本経済新聞の調査で企業の76%が法務領域で生成AIを活用しているという数字が出てきて、思わず手が止まった。76%。広告業界で新しいツールがここまで浸透するには数年かかる。それがもう法務で起きている。

広告の仕事をしていると、法務と接点はそれなりにある。新しい媒体で訴求軸を変えるとき、景表法や薬機法のチェックが必要になる。代理店から出したクリエイティブが法務に差し戻されて、入稿スケジュールがずれることもある。CPAが下がってきたと思ったら、配信停止になるパターンもあった。あのロスは数字を見るたびに思い出す。

法務ボトルネックはマーケROASに直結する



記事では法務業務の5つの活用シーンが紹介されていた。契約書レビュー、ドラフト作成、リーガルリサーチ、要約と翻訳、社内からの法律相談への一次対応、という構成だ。法務の人が読む記事なんだけど、マーケ側の自分が読むと「この工程が詰まっているから広告入稿が遅れるんだ」という読み方になる。

たとえば広告素材の薬機法チェックを法務が一次対応でAIに任せられるなら、差し戻しまでのリードタイムが短くなる。それはそのままキャンペーン開始日の前倒しにつながる。ローンチが1週間早まれば、インプレッションもCVRも変わってくる。施策の効果を測る期間が伸びるのも地味に大きい。特にTikTok広告みたいに学習期間が読めない媒体では、1日単位で配信日程が変わるだけで最適化のスピードに差が出る。

マーケ側がAI活用を整理するときのヒント



自分の仕事に置き換えてみると、生成AIをどこに使うかの判断基準は「工程のどこで手が止まるか」だと思っている。広告文の生成はもうChatGPTで回している。A/Bテスト用のコピーを10パターン出すのに、以前は1時間かかっていた。今は30分かからない。その時間はGAの分析やオーディエンス設計に使っている。

ただ、法務の話を読んで気になったのは情報漏洩リスクだ。記事でも機密契約書を無防備に入力するなという話が出ていた。マーケ側でも、クライアントの未公開プロダクト情報が入ったブリーフをそのままChatGPTに貼るのはやっている人がいる。あれは正直ヒヤヒヤする。社内のAI利用ガイドラインがまだゆるいのは、法務だけじゃなくてマーケも同じ問題を抱えている。

AIで効率化できる工程は、業種や職種を問わず「定型チェック・定型生成・定型検索」の3種類に収まる気がする。


  • 定型チェック:薬機法・景表法の表現確認、契約書のリスク条項洗い出し

  • 定型生成:広告コピーのバリエーション、契約書ドラフト

  • 定型検索:法令調査、競合事例のリサーチ



こう並べると、法務とマーケはやってることの構造が似ている。どちらも「大量のテキストを読んで、判断して、アウトプットを出す」仕事だ。AIが得意な領域とまるごと重なっている。

数字で測れないものをどう扱うか



自分はROASやCPAで施策を評価する癖がついている。数字で測れないものはなかなか意思決定の根拠にしにくい。でも、法務の効率化は「チェック完了までの時間」という数値で測れる。記事に具体的な時間削減の数値は出ていなかったが、「定型業務にかかる時間を削減できる」という方向性は明確だった。マーケで言えばアウトプット作成のリードタイム削減と同じ話で、計測して改善するサイクルを回せる。

広告代理店で働いていると、法務部門と接するのはたいてい案件の終盤だ。チェック待ちで入稿が止まる経験を繰り返してきた身としては、法務が生成AIで回り始めると全体のスループットが上がるんじゃないかという期待がある。自社内の話というより、クライアント側の承認フローがどこまでAI化されるかのほうが、自分の仕事には影響が大きい。そこは少し追いかけてみようと思っている。

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